第六八話:ヤオイゲートからガチホモ出産!

ガチホモ城の塔の中、俺たちとガチホモが対峙している。

 ゴールドリングをハメた10人のガチホモは、ヤオイゲートと槍で次元結合。

 巨大な車輪と化している。

 ガチホモ大車輪だ。

 

 しかし、俺たちは負けない。なぜなら、俺は不敗で、無敵で、最強だから。

 しかも、俺の許嫁たちもその凶悪さ、暴力性、獰猛性では他の追従を許さん。


「あはッ! ミンチだぁ! ぶち殺して粉々の肉塊にしてやる! 殺す! 絶対に殺す! 死ね! このド畜生どもがぁ!」


 緋色の髪をなびかせ、釘バットを振り回し始めたライサ。

 その風の唸りに特異点が見える。もはや、いかなる物理存在も粉砕しかねない一撃。

 紅い瞳が灼熱の視線を発しているようだ。

 ライサの周辺の大気がプラズマ化して凄まじい熱を発しているような感じになった。

 

「薄汚い、繁殖用の雌豚どもがぁ! 蹴散らしてやるわぁ!」


 ゴールドリングのガチホモが連結したガチホモ大車輪が高速回転を始めた。

 巨大な槍を突き出したままの回転。

 ガリガリと床を削っていく。

 そのまま、吹っ飛ぶように突っ込んでくる。釘バットを振り回しているライサ直撃コース。


「おらぁぁぁぁ!! 死に腐れ!」


 ライサは、両手でバットを握りこむと、ギュンとその細くしなやかな腰をひねる。

 長い緋色の髪を巻き込みながら、フルスイングする。

 ジャストミートだった。

 凄まじい金属音を残して、ガチホモ大車輪が吹っ飛ぶ。

 そのまま、反対側の壁に激突し、血飛沫を上げた。

 もはや、結合しているガチホモたちの脚はへし折れ、血がピューピュー状態。


 コロコロと、丸い物が転がってくる。

 見たら、ガチホモの頭だった。

 首がもげた奴もいるみたいだ。

 しかし、それでも、ガチホモリングは結合されたままだ。

 壁に半分以上めり込んだまま、またしても回転を開始しだした。


「あははは!! 殺しがいがあるな!! もっと殺してやる! かかってこい! ぶち殺す!」


 牙のような八重歯を見せ、ライサが獰猛な笑みを見せた。

 ヒュンと釘バットが消えた。おそらく女の子にしかないというアイテムボックスにしまったのだろう。

 そして、拳を握りこむ。両こぶしには硬質で鈍い光を放つメリケンサックがハメられている。


「ここから、本気でなぶり殺しにしてやる。殺してやる。絶対に殺すぅぅ!!」


 超絶美少女殺戮マシーンが咆哮する。もう、誰にも止められない。


 いいぞ――

 それでこそ、大宇宙の超絶支配者となるこの俺、アインザム・ダートリンクの花嫁に相応しい。

 ひひひぃぃぃぉぉぉ!!

 この破壊! 蹂躙! 虐殺こそ、俺とお前の愛の証明なのだぁ! ライサよぉぉ!!


 その美しい肢体で暴虐と蹂躙と死を振りまくのだ! 

 ああ、愛しているぞライサぁぁぁ!


 俺の体の中の魔力回路は重低音の唸りを上げ、バンバン大回転。

 なにもしないでも、全身の毛穴から、魔力がダダ漏れになりそうな勢いだった。

 今すぐ、このガチホモ城全体をぶち壊してやりたい。


「もうね、アンタ一人でやってんじゃないのよ!」


 ふわりとフィヨルドの風を纏ったように美の結晶体が前に出た。

 北欧の美少女、いやむしろ幼女を思わせる。そして金色の長い髪。

 更に、北欧の雪よりも白い透き通るような肌の色。

 北欧の神秘の泉の色を湛え、魂が吸いこまれそうになる碧い瞳。

 その相貌は、北欧の美の女神が作り出した最高傑作品といってもいいだろう。


 エロリィ・ロリコーン。

 禁呪使いのプリンセスだ。


「あひゃゃぁぁゃぁゃゃ――ッ!! 私の超絶禁呪で、丸焼きなのよぉぉ! もうね、1000億兆度の紅蓮の炎なのよぉぉ!!」


 精神のタガが弾け切ったような笑い声をあげ、エロリィが構える。

 俺の魔素と魔力をパンパンに注ぎ込まれ、そのパワーで全身が爆ぜそうなくらいの魔力光を発している。

 地面に巨大な魔法陣が展開。更に頭上。両腕にリングのような魔法陣が展開され、両脚にもだ。

 全身が魔法陣の中に包まれているような状態になっている。

 今までに見たこともないような巨大な複層魔法陣だ。


 見る者の心臓を鷲づかみにするような、美しい横顔。


「魔力回路がパンパンで熱くなっているのよぉ。アインがドピュドピュといっぱい注ぎ込むから、私のちいさな体は、アインのでいっぱいなのよぉ。もう、アインの魔素の味を覚えちゃうのぉ~。もうね、絶対に離れられないのよぉ」


 俺に対する愛の告白だった。

 いいね。いいぞ。俺も愛しているぞ。エロリィちゃんよ。

 俺は、お前を猛烈に愛している。もう、一日中全身をペロペロしたいくらいだ。

 ああ、夢だ。その夢を俺は手中にしている!!


「やれぇぇ!! エロリィ! 愛しているぞ! 殺すんだ! ガチホモを殺せぇ!」

 

 叫ぶ俺。


「きゃはっははははは!!! もうね、私もアインを愛しているのよぉぉ! 超絶禁呪をかましてやるのよぉぉ!」


 甲高い哄笑の後にすっと沈黙。

 エロリィがふぅぅ~と息を吸い込む。

 その空力的に美しいフォルムを見せる胸が微妙に膨らむ。

 瑞々し北欧のピンクの花びらを思わせる唇が開く。


「ああああああ~ らめぇ、激しいのぉ! そんないきなり奥までぇぇ! そんな奥はダメなのぉぉ、私の魔力回路の大事なとこなのぉぉ、魔力を作る大事なとこをコンコンしないでぇ。あああん、らめぇ、らめぇぇぇ!! 頭が痺れるのぉ、白くなるぅ、真っ白になって分からなくなっちゃうのぉぉ、ああ、魔力回路が形をおぼえちゃうぅぅ、ああああ、熱いの、熱いのが来ている、ダメ、ダメ、これ以上、ガンガン来ないで、熱いのが上がってきて、ダメになるのぉぉ、ああああん、行っちゃう、大きいのが来ちゃうのぉぉぉ~!!」


 荘厳な禁呪の調べが響き渡る。

 エロリィの複層魔法陣が高速回転し、バチバチと放電したかのような光を放つ。


「ああああん! 熱いのがドピュドピュしているのよぉぉ!!」


 エロリィの禁呪が完成した。大気がプラズマ化して。超高温状態となる。

 白熱化した光の奔流が、一直線にガチホモ大車輪を包み込む。

 そのまま、塔の壁を融解させ、光が貫通。外に向かって突き抜けて行く。

 ドデカイ穴が開いた。その穴の断面では、石やレンガがドロドロに溶け、流れ出していた。


「あひゃゃははは!! もう跡形もないのよ! 私の禁呪で蒸発したのよぉぉ!」


 エロリィはダブルピースを極める。

 俺が注ぎ込んだ魔素と魔力でパンパンだったせいか、いつものようにアヘ顔ではない。

 まだ戦えそうだった。まあ、敵は多分死んだけどな。


「ああああ! エロリィちゃん! エロリィちゃんの超絶禁呪! しかし、なぜ最後にアヘ顔が無いのか!! この不肖エルフの千葉、その点にだけは、異議を唱えたい。エロリィちゃんのアヘ顔は、全宇宙の夢! ああ、この世にロリコンの楽園があるとするならば、その偶像となりて、1000万年を支配するものなりぃぃ!!」

 

「千葉よ!!」


「なんだ! アイン!」


「それに同意はしたい」


「うむ! さすが、心の友……」


「いや、今は、お前も俺の婚約者なのだ!」


「おお! そうだ! そうなのだ!」


 ふわりとエメラルドグリーンの髪を揺らし俺を見つめるエルフの千葉。

 俺たち二人は、どちらからというでもなく、歩み寄っていた。

 

「背後から頼む――」


「うむ」


 もはや、それだけで俺とエルフの千葉は分かりあえていた。

 エルフの千葉はくるりと背を向け、俺に身をあずけた。

 そして俺はその細く嫋やかな背を支えながら、腕を前に回す。

 エルフの胸に手を置く。ゆっくりと愛おしむようにだ。

 その肢体は人ではあり得ない細さと繊細さを持ち、優美さ持っていた。

 胸は、女性であることを主張するラインを描き、美しい双丘を作っている。

 おもむろに俺はそれを掴む。そして揉む。


「ああああ! 激しいぃぃ! 胸はぁぁ、ああ、気持ちいぃぃ~」


 エルフが高く清らかな澄みきった歓喜の声を上げた。

 俺の揉む手が激しくなる。


 エルフの千葉も俺の婚約者なのだ。こうやって、おっぱいを揉んで上げねば不平等というものなのだ。


 俺は大宇宙超絶帝王になる…… あれ?

 なに?

 俺、なにしてるの……


『アイン! どうしたの! 魔力回路の回転が弱くなっているわ。魔力出力が落ちてるわ!』


 俺の脳内に声が響いた。俺の体内にいる精霊のサラームだ。


『え?』


「あああ、アイン、なんでお前の掌はそんなに気持ちいいのだ~」


 エルフの千葉が、蕩けるような眼差しを俺に向けた。

 吐息のような言葉を吐く。

 

 凄まじい勢いでテンションが下がっていくのが分かった。

 なんか、賢者タイムどころではない。一気に鬱モードになりそうなくらい。


「あ、あ、あ、あ、あ~ 生まれてきてすいません……」


 俺はなんてことをしているのだ。

 親友の、外見はエルフの美少女とはいえ、男子高校生の千葉君のおっぱい揉んで喜んでるとか。

 まあ、前にも揉んだけどね。

 どうなの。俺は生まれてくるべきじゃなかったのか?

 あああ……


『アイン! しっかりしなさいよ! 回して! 魔力回路を回すのよ!』

 

 精霊のサラームの声が切迫してくる。


『あ、ああ……』


 俺はなんとか、魔力回路を回転させる。

 ようやく1個が回りだした。

 なんとか、気分が落ち着いてくる。

 

 俺は息を吸い込み、ふぅ~と吐きだした。


「アイン、どうしたのだ? もっと激しく、激しく揉んでくれ! 先っちょを責めてもいいぞ」

 

 俺はエルフの美しい双丘からゆっくりと手を離した。


「千葉、俺におっぱい揉まれてうれしいのか?」


「うむ。もはや、俺の体はエルフの美少女なのだからな。お前にもまれて開発されていくのだと思う」


「そうか……」


 この目の前の男の恐るべき適応力に俺は戦慄を覚えた。

 まあ、しかしだ。

 とりあえず戦いは終わったか。

 

 カコーン――


 乾いた音が響いた。

 続いて、カーン、カーンと音が連続する。


「なんだ?」


 俺は床に視線を落とす。


 黄金色をした。リングがコロコロと床を転がっていた。

 

「あれ? ガチホモのゴールドリングか?」


「そうでござましょうな。さすが、アイン様です。一目でその正体を見抜くとは、この私以上のガチホモ観察眼でございます」


「分かるよ! 分からない方がどうかしてるだろ!」


 淡々と「音声」としか言いようがない言葉を話す、セバスチャンにぶち切れる俺。


 しかし、リングは溶けなかったのか?


「あれ?」


 俺はそのゴールドリングを見た。

 本当はそんなに見たくない。ガチホモがハメていたリングだ。けがらわしい。


 ブーンと低い音がして、リングが細かく振動しているような気がした。

 

 くぱぁ――


 リングの中央に暗黒の空間が出現しそれが割れた。

 そして、そこからニュルニュルと何かが出てきた。

 ズタボロ。半分焦げている。

 なんというか、ゾンビと言った方がいい状態になっている。

 そんな人型をした何かが、リングの中央から出てきた。


「もう…… 俺はダメかもしれんな。ゴールドリングの結界では防ぎきれぬか……」


 ほとんど炭化した体が今にも崩れそうだった。

 コイツは、ガチホモの生き残りだ。

 なんか、結界を張って、エロリィの禁呪から生きのこったようだ。

 ただ、ダメージは防ぎきれず、もう闘うどころか、死にそうになっている。


「しかし、ヤオイゲートの中ならば……」

 

 真っ黒に炭化したその顔が「ニィィ」と笑った気がした。


「ぬぉぉぉ!! ヤオイゲートオープン! 次元結合システム起動! 括約筋圧縮解除! 発射!!! ひっひッ! ふーぅ!!」


 ヤオイゲートとやらが開いた。

 ガチホモたちが愛を受け入れる場所か?

 気持ち悪い。


 その開いたヤオイゲートから、ヌルヌルとガチホモが出てきた。

 腸液まみれのガチホモが細いヤオイゲートを拡張しながら、外部空間にひり出されている。

 

 これも、悪夢のような光景。

 まるでガチホモが出産をしているような光景だ。

 またしても、強烈な吐き気が襲う。


 連結されたままのズタボロのガチホモがヤオイゲートからヌルヌルと産みだされた。


「ああああああああああああああああああああ!!!」


 絶叫する俺。

 なんか、自我がブチ壊れる音が聞こえてきた。

 人間が連結したムカデのようになりながら、炭化したガチホモから生み出されていくのだ。


 炭化した人間が、尻から人間ムカデを出産している。

 そう言うしかない光景。

 発禁処分、公開禁止間違いない。

 見ているだけで発狂しそうになる。


 なんだこれは?


『アイン! しっかり! 魔力回路! 回しなさい! 早く!』


『あががががぁぁぁ!!』


 無我夢中で魔力回路を回転させる俺。

 なんとか、気分が平常運転になってくる。

 ただ、微妙な吐き気が残る。

 なんちゅー、恐ろしい敵なのか。

 

 更に、この上に、四天王とかいるんだよ。

 どーすんだよ。

 

「むぉぉぉ!!! 頼むぞぉぉぉ!! 俺はもう、ここまでだぁぁ!」


 仲間のガチホモをヤオイゲートから産み落としたガチホモが倒れた。

 炭化した体を横たえ、もはや息をしていない。


「5位…… アナタの犠牲は、無駄にしません」


「しかし、7位と9位と12位と13位が死にました。逃げ遅れました」


「残ったのは5人ということか……」


 エロリィの超絶禁呪を、5位のヤオイゲートの中に全身を突っ込ませることで回避。

 連結したままの6人のガチホモが、ヌルヌルの腸液まみれで話している。

 お前らの羊水は腸液なのか!?


「こうなれば、せめて……」


「男の子の確保だぁぁ!!」


 ガチホモが叫び、俺に向かって突っ込んできた。

 連結したまま、人間ムカデの突撃だった。

 

 腸液まみれのヌルヌルのガチホモ。ふんどしもボロボロでほとんど全裸といっていい。

 それが一気に突っ込んでくる。


 ライサもエロリィも、ガチホモのヤオイゲートからの出産の衝撃で一瞬動きが止まっている。

 

「ヤオイゲートに捕えて、確保だ!」

 

 とんでもないこと叫ぶ。ガチホモ。


 俺の目前にヤオイゲートの深淵の穴が開かれる。

 吸い込まれる!

 ヤオイゲートに吸い込まれる!!


『ああははは!! なにこれ! 面白いわ!』


 頼りの精霊は事態を面白がって攻撃不能だった。


 スパーン、スパーン、スパーン、スパーン、スパーン――


 連続する切断音。

 一瞬で、5人のガチホモの首がすっ飛んだ。

 そのまま、コロコロと地面に転がっている。


 破裂した水道管のような音を立て、首からは盛大に血の噴水が上がる。

 

「詰めが甘いです。殺すときは最後まで、殺し切るのです――」


 ゆらりと気配がそこに現れた。

 長く黒い髪を揺らし、メガネの巨乳のお姉様が現れた。

 大きなおっぱいがゆらゆらと揺れているのは当然だった。


「シャラート!」


 超一流の暗殺者にして痴女で俺の腹違いの姉で婚約者のクールビューティ。

 その凶悪なチャクラムが一瞬で5人のガチホモを首チョンパしていた。


「さあ、次の階へいきます」


 優雅にその長い髪を手でかきあげる。

 サラサラと流れるように黒髪が舞う。


「気配を消しやがって! いいとこだけ、持って行ったのかよッ!」


 ライサが紅い瞳をシャラートに向けた。

 その瞳は、恒例の殺意がこもっていない。

 それどころか、ある種の好意とか友情とか、そんなものすら感じられた気がした。


「もうね、アンタなんかいなくても、私がもう一発禁呪をお見舞いすれば終わりだったのよ」


 金色のツインテールを揺らし。エロリィは、強気な眼差しをシャラートに向けた。

 でも、そこには殺意や敵意はなかった。


 3人は一瞬だけ見詰め合った。

 そのとき、シャラートの口元に一瞬だけ笑みのようなもが浮かんだのが見えた。


 そして、シャラートが俺の方を振り返る。

 メガネの奥の黒い瞳。切れ長の涼しげな目。

 俺を見つめるお姉様。


「さあ、アイン。一緒にガチホモを皆殺しです」

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