第六五話:ガチホモ連結! ガチホモ大車輪!

『なんでゴールドなのに! 12人じゃないのよ―! なに? 恐れたの? 車〇正〇を怖がってんの!』

 

 サラームが誰に向けてか分からぬ怒りをぶちまける。

 いや、少ないなら少ないに越したことないから。


「そこのキミ――」


 鉄のふんどしに、「掃除機」と「デンマ」を持った男が話かけてきた。

 殺そう。耳が腐る。

 もう、早くコイツら殺そう。


『おい、サラーム、殺すぞ。コイツら』


『えー、もったいないわよ―― 貴重なホモだわ』


『お前の腐った価値観はこのさい無視だ。いくぞ!』


『もう…… 分かったわ!』


 俺は目の前のこの鉄ふんどし男に目をやった。

 コイツからだ――


「疾風刃!」


 俺は叫んだ。別に叫ぶ必要はないが、気分の問題だ。

 真空の刃を飛ばして、切断する。

 全力で撃てば、巨大な竜の首ですらふっとばす。


「ぬん!! ジャクリーン!」


 鉄ふんどし男は、素早く掃除機を振るった。


「ブォォォォォ―」という男ともに、凄まじい勢いで空気が吸い込まれていく。

 体ごと持って行かれそうなのを踏ん張る。

 

『なに? 私の「疾風刃」を吸いこんだ?』


 サラームが驚きの声を上げた。

 うそだろ?

 今まで、サラームが攻撃して無事で済んだ奴なんていねーぞ。

 姿は羽虫みたいで、俺の中に引きこもっている精霊だが、その凶悪な攻撃性に支えられた破壊的魔法威力は半端ない。


「てめぇ……」


「フッ―― 風を操るかよ…… 可愛い顔して、えげつない魔法だな。しかし、ジャクリーンには通用しない」


 なんだこいつ、掃除機に「ジャクリーン」とか名前つけやがって、頭おかしいだろ?

 俺は混乱していた。

 ここにいる全員が頭おかしいことを忘れるほどに。


「死ねや!! このクソがぁ! 順番なんか関係ねぇんだよッ! 殺してやる! ぶち殺してやる!! 死ねぇぇぇっぇぇぇぇ!!」


 ライサが大きく振りかぶり、右のストレートを叩きこもうとしていた。

 一瞬で、間合いを詰めるしなやかな長い脚。

 凄まじいパワーを秘めた細い腰が回転する。

 踏込と回転力が恐るべきパワーとなり、魔力で強化された筋肉を動かす。

 空間を貫く、左ストレートが吹っ飛んできた。戦術核兵器クラスの破壊力を秘めた一撃。


「むお!!」

 

 鉄ふんどしの男は、こんどは「デンマ」でその拳を受け止めた。


 ビビビビビビビビッビイビビビイビビイビビイビビビビビビビビビビビビビビーーーー


「ああああああああああああ!!」

 

 ライサが吹っ飛ばされた。彼女が悲鳴を上げるなど、かつてないことだ。

 鉄壁の防御力と、比類なき破壊力の超絶美少女兵器が吹っ飛ばされた。

 そのまま壁に激突した。ズルズルと壁に血の跡を残しながら、崩れていくライサ。


「死ね――」


 聞く者の心を凍てつかせる刃のような言葉が聞こえた。

 シャラートだ。

 チャクラムが飛ぶ。弧を描いて敵を切り裂く必殺の凶器。


 パーン!! 

 弾かれていた。


「その攻撃の軌道はもう知っていますよ――」


 ニィィーと笑う。

 アナール・ドゥーンだ。ガチホモ四天王1人。

 ふんどしから突き出ているホースで弾丸を打ち出す狂気のガチホモだ。

 腸液まみれの「アナル弾」でチャクラムを弾き落したのだ。


「もうね! アンタらだらしないのよ! 私がやるしかないのよ! 天才の禁呪のプリンセス様がぁぁ!」


 金色のツインテールをたなびかせ、禁呪王国からやってきた禁呪のプリンセスが叫んだ。

 全身が青い魔力に包まれ、まともに見るのが難しいくらい眩しくなる。


「あん、あんあ、あぁぁあ、どんどん、ドンドン入ってくるのぉぉ~ そこは、魔力を作る大事な場所なのにぃぃ、そんなとこに、直接魔素をドピュドピュされたら、絶対に魔力ができちゃうのよぉぉ~ 私の魔力回路をそんなに突き上げないでぇ~ お腹の奥にズンズンきちゃうのよぉぉ~ らめぇ、らめなのぉぉあ、あ、あ、あ、あ、熱いのが、熱いのが出てるぅぅ~ もう、こんなにいっぱい出したら溢れちゃうのよぉぉ」


 禁呪の詠唱に合わせ、魔力光が更に輝きを増す。


「いくぅぅぅぅ、あああん、熱いのぉォぉ!」

 

 凄まじい熱量を持った火の玉が出現する。

 そして、キュンと加速し、ガチホモ四天王目がけて飛んでいく。

 そのふく射熱だけで、焦げ目が出来そうなほどの温度だった。


「ぬはぁぁぁあああ!! ガガガガ!! あぁぁぁぁあああああああああ!!」


 巨体ぞろいのガチホモ四天王の中でも、ひときわ巨体。

 全身傷だらけの凶悪なガチホモが吼えた。


 バシャハァァァアアアアアアァァァ!!

 

 白濁した液体が、奔流となって火球を包み込んだ。

 異臭を放つ白濁液はヌルヌルと炎を包み込み、そしてブスブスと焦げながらも火球から熱エネルギーを奪っていく。

 そして、破砕流のごとき勢いを持った白濁液は、そのまま火の玉を吹き飛ばしていた。

 迫る白濁液――


「エロリィ! 危ない!」


 俺は叫んだ。そして跳んだ! しかし間に合わない。


 白濁液の奔流は、エロリィ向かって突っ込んできていた。

 エロリィは禁呪を使った影響で、フラフラとした足取り、ダブルピースサインを作り、アヘ顔になっているだけだった。

 それだけ、大きな禁呪を使うことは体に負荷が大きい。


「エロリィちゃん!!」

 

 エルフの千葉が叫んだ。

 そして白濁液の奔流の中に突っ込む。しかし白濁液は止まらない。

 エルフの華奢ともいえる肢体をふっとばす。そして、後方でダブルピース&アヘ顔のエロリィを巻き込み壁まで飛ばした。


 アヘ顔、Wピースの金髪幼女とエメラルドグリーンの幻想的なエルフが白濁液にまみれとなり、床に転がった。

 

「あああん、もうね、私の…… 禁呪がぁぁ、殺して…… 殺してやるのよぉぉ~」


 白濁液にまみれ、トロトロのアヘ顔になりながらも、殺意のこもった言葉を吐くエロリィ。


「てめぇ…… 殺してやるからな…… ぶち殺す! 絶対にぶち殺す! 肉片にしてやる! 死なすぅぅ!!」


 血まみれになったライサが立ち上がった。

 空気が過熱し、着火しそうなほどの、殺意を空間に流し込んでいた。

 ぶぁぁっと緋色の髪が殺意に煽られ、宙を舞った。


 一瞬、ガチホモ四天王に緊張が走った。


「まて、ここはゴールド達に任せて、我々はガチホモ王のところへ急ぐべきだ――」


 プリプリとしたケツを揺らせながら、ホモ・リンゴが言った。


「あばばああああ!! ギもちよかったのだ! 精進なのだぁ! 白濁してネバネバしてる液がいっぱいでたので、気持ちよかったです~! でも、王のところに戻って、もっと気持ちいい事するのだぁぁ~」


 口からダラダラとよだれをたらし、虚ろで瞳孔の開き切った目をした男が言った。

 木冬木風というガチホモ四天王の1人だった。

 あれだけ、大量の白濁液を発射したというのに、まだふんどしからは白濁液を垂れ流している。

 コイツの足元がベチャベチャになっていた。


「フ―― そういうことだ、女よ。もし、俺に挑みたいなら、この塔を上がってくることだな――」


 掃除機とデンマを握ったガチホモがライサを見やって言った。


「では行きますか。あ、ゴールド達よ」


『ハッツ』


 ケツからホースが突き出た男、アナール・ドゥーンの言葉に、金色のふんどしを締めた10人の男がひざまづいた。


「この、美しい、黒と銀の髪をした男の子は、なるべく無傷にするように―― 特に、あそこに傷をつけたら、殺すよ……」


『ハッ! 仰せのまま!』


 4人のガチホモの視線が俺に集中。

 全員目を血走らせ、舌舐めずり。よだれまでダラダラ垂れ流すやつがいる。

 硬直する俺。

 今までにない、かつてない恐怖に体が金縛りになる。


『あーあ、これはアインが輪姦ね、だって、アンタの許嫁も通用しないわよ――』


 俺はゆっくり、最後のたより、ママに目を向ける。

 もう、情けないと思うけどね。だって、ママに何とかしてもらわないと……


 ふわりと、いい匂いが鼻腔をくすぐる。

 ガチホモのまき散らした白濁液の匂いを一気に消してしまう香り。

 そう、俺が小さいころから知っている匂いだ。


「アインに近づいたら、殺します――」


 シャラートだった。

 俺の前に黒髪の美少女が立った。絶対に俺を守るという決意がその背中に見える。前の方は俺専用のおっぱい。

 この恐怖を消すためには、後ろから手を回して、シャラートのおっぱいをモミモミするしかないのではないかと思った。

 そして、思った瞬間実行する俺。


 柔らかく、包み込むようでいて、そして弾力のある最高のおっぱい。俺の指に体温が染み込む。

 俺の指とシャラートの胸が溶けて一つになてしまうような錯覚に襲われる。


「ああん、アイン―― そんな…… 激しくぅぅ、 あ、あ、あ、あ、あ~ そこは、私、弱いのしってるでしょうぅぅ~」


 ビクンビクン痙攣を始める。シャラート。大きいだけでなく、感度も良好だった。


「クッ! 女の乳を揉むなど! 気持ち悪いことをしよって! この旧人類どもが!」


 ホモ・リンゴが吐き捨てるように言った。


「行くぞ!」


 鉄のふんどしのガチホモ、シリアナ・テイソウタイが言った。


「うむ」


「あがががああああああ~ ああ、気持ちいいのは、いいことです。精進です」


「では、会う機会があれば――」


 四天王は去って行った。


「アイン――」


 ママ、つまり俺の母親、ルサーナが俺の名を呼んだ。

 俺は、シャラートの服から手を抜き出して、直立不動で母親の方を振りかえる。


「見事です―― 許嫁の胸を揉み、ガチホモたちの嫌悪感を呼び覚まし、撤退させる――」


 凛とした声で、俺を褒めるママ。つまりルサーナ。


「これは、ご褒美ですね――」


 そう言うと、ルサーナは俺の頭を抱きかかえた。


「あああああん! もう、アインちゃんは可愛くて、天才で、ガチホモ四天王だって、恐れをなして逃げちゃうの! もう、天才で最強で無敵で可愛くてどうすればいいの! ママはもうスリスルするしかないわ! スリスリスリスリスリスリスリスリスリスリスリスリ!!」


 分速600往復を誇る、ルサーナのスリスリが俺の頬の上で炸裂する。

 その柔らかい胸がスリスリされるが、シャラートと違い、全然エロい気持ちにもならないし、楽しくない。


 ガチホモ四天王が去り、その場には俺たちと、ガチホモ兵。それもゴールドリング保持者だけが残った。

 ガチホモランキング5位から14位ということは、ガチホモ四天王に次ぐ力を持っているということだ。

 

「ふっふっふ、それでは、ガチホモ四天王様の命令を実行する」


 10人並んだ、ゴールド・リング保持者が言った。


『あああ! もう! なんで10人なの! 12人になってから出直してくればいいわ! なんかイライラするわ』


 サラームが俺の中でプンスカしている。

 先ほどの魔法を防がれたダメージは無いようだ。


「我ら、ゴールド・リング保持者のガチホモをただのガチホモと思わぬことだ――」


「あはッ! そうかよ! ほら、殺してやるから、早く武器でも何でも出せよ。なぶり殺しにしてやるッ! 全員粉砕してやる! 死なす! 殺す!」

 

 ライサの殺気が最高レベルになっている。

 しかしだ――


「ああああん。もうね、チュウなのよぉぉ、アインにチュウしてもらって、魔素がないと、ダメなのよ、早くチュウなのぉぉ~」


 白濁液にまみれたエロリィは、ひっくり返ったまま。呼吸を荒くして、俺のチュウをおねだりしている。

 魔力供給しないと、戦えない。


「アイン~ あ、あ、あ…… 中途半端で、やめないで…… もう、ダメです。耐えられません――」


 シャラートは戦闘用のチャクラムをしまって、ゴザを取り出し敷きはじめた。

 おっぱいを揉み過ぎて、暗殺モードから、痴女モードになってしまった。

 どーすんだ?

 もう一回、おっぱい揉むか?

 だが、それ以上を要求された場合どうなる?


「ああん~ もう、天成君、そんな中途半端じゃだめだわ(うふ、女の体火をつけて、それを途中で放り出す…… ああん、天成君、アナタは想像以上だわ。この私の大人の女の体も、そうやってもてあそぶのね、ああん。想像しただけで、真央の体の芯が…… ああ、どうしたら、いいの。教師ととして、生徒の肉奴隷に堕ちていく…… こんな、なんて罪な男なのかしら――)」


 敵の前でも平常運転。安定の内面ダダ漏れの真央先生だった。

 この、真央先生は自分を襲ってきた敵は塩に変えてしまうが、必要以上に攻撃はしない。

 つーか、塩にしているのも、攻撃という意識を持ってない。


「フッ―― ここは、一気にあれで片づけるか」


「5位よ、それはいいな」


「よし、それでいくぞ!」


 ガチホモたちがずらっと並んだ。

 前の奴が手を腰に当て、後ろのガチホモたちが「小さな前ならえ」をしている。


「ガチホモ奥義! ガチホモ大車輪! 形成シーケンスに入る!」


 先頭の奴が叫んだ。この言葉だけで、絶対にろくでもないことが確信できた。


「復唱! ガチホモ大車輪! 形成シーケンスに入る!」


「超次元空間結合システム稼働!」


 ガチホモたちは金色のふんどしを横にずらした。

 そして、ずらした脇から黄金の槍が飛び出す。


 それは全長200センチ、つまり2メートルの槍だった。

 10本の槍が天を突くような形で突き出した。

 金色の槍だ。キラキラとした光を放つ。


「次元結合準備――」


「次元結合準備よし――」


「括約筋システムロック解除」


「括約筋システムロック解除よし」


「ヤオイ液充填 90% 100% 120%……」


「総員、ガチホモ・ヤオイゲートオープン、対ショック、対閃光防御」


「準備完了!」


「合体!! ガチホモ大車輪!」


 全員の叫びとともに、金色の槍がヤオイゲートに吸い込まれるように飲みこまれる。


「ああああ、いいぞぉぉお~ 8位のやりがっぁ~」


「あふぅぅ、いきなり、いきなりそんな奥に、10位ぉぉ、キツイ、きつすぎだぁ」


「ああああ、締め付けるな! 7位、おまえのヤオイゲートキュンキュン締めすぎぃぃ」


 吐き気をもよおす光景だった。

 一直線にならんだガチホモが、ふんどしの脇から生えた槍を前のガチホモのヤオイゲートとやらにブチ込んで、連結していくのだ。

 連結部からは、ダラダラと、120%に充填されたヤオイ液が垂れ流しだ。

 もはや戦慄以外の何ものでもない。


「これは、『第一次ノンケ狩り戦争』で開発が噂されていた、ヤオイゲート連結システムでは?」

 

 この光景を前にしてすら、言葉に一切の感情がこもらないセバスチャン。なんか、理由のない敗北感を感じた。


「14位、行くぞ、俺の、俺の槍を受け入れるんだ!!」


 一番先頭で「小さい前ならえ」をしていたガチホモが、グインと持ち上がる。

 まるで巨大なヘビが鎌首を持ち上げたような物だ。

 そして、そのまま先頭のガチホモが後方まで回り込む。


「レッツ! コンバイン!! ガチホモ大車輪!」


 5位の槍が14位のヤオイ・ゲートに吸い込まれていく。


「ああああ、5位の…… 5位の槍を感じる……  その形までくっきりわかる」


「あああああ、14位よ、なんで、オマエの中はこんなに温かいのだ、ああ、溶けてしまいそうだ」


 俺は、口を押えてダッシュ。

 壁際まで全力。


 限界だった。

 トラウマだ。

 トラウマ級の恐るべき攻撃だった。


 10人のガチホモの合体。

 頭を内側に、脚と結合部を外側とした巨大な大車輪が完成していた。


 暗黒舞踏のようにウネウネと脚が蠢く。

 結合部からは、ヤオイ液が、ヌルヌルと流れ出し、周辺をテラテラと光らせていた。

 

 最悪だ――


 俺はめまいとともに、しゃがみこんで、そこにゲロぶちまけた。

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