第四七話:ああん、先生を好きにしていいのよ。中に出していいの――

「ふふふ、どうしたのかしら、天成君…… もしかして、大人の女が怖いのかしら、うふ」


 濡れた金髪。

 凶悪なボディにバスタオルを巻いて、バスルームから登場した。

 池内真央先生。28歳。俺の高校の担任であり英語教師だ。

 

 金髪をかき分け生えている2本の角が、只者ではない雰囲気を醸し出している。

 つーか、人間を辞めてらっしゃいます。


「あのぅ…… 先生…… ここは、どこです?」

「うふ、天成君が大人の階段を上る場所―― ううん、アナタはもうとっくに登ってしまったのかしら? あの可愛らしい婚約者たちと……」

「いえ、そんな……」

「うふ、天成君の初めてをもらえなくて、先生ちょっと残念だわ―― ううん、でも若い娘にはない、大人の女のいいところを教えてあげるわ。いいのよ、隅々まで、教えてあげる――」

 

 立ちすくむ俺に向かって歩を進める池内先生。

 発言も、歩く姿も完全に18禁だった。

 細胞の全てが発禁処分。


 薄暗い照明の中、ぬめる様な白い肌がほんのりと朱に染まっていた。

 完全に成熟した女の肉欲が溢れだすような淫靡な空気を身にまとっていた。

 その下がり気味の眼差しは、妖しく淫らな光が満ちている。

 これから年下の教え子を蹂躙する期待を隠そうともしていなかった。

 

 これが、大人の女――


『って! サラームぅぅ!! なんで俺の内面描写まで、フ〇ンス書院みたいになってんだ!? なんとかしてくれぇぇ!』

『閉鎖空間だわ。この淫売、私とアインを自分の作った空間に閉じ込めたわ。生意気だから、殺そうかしら』

『閉鎖空間?』

『そうね。殺せば出られるかも』

『殺すなよ! 絶対に殺すなよ。絶対にだ!』


 いくら、魔族と融合して人外の存在になったとしても、担任教師を殺せるわけがない。

 この、生命をクソ以下と思っている精霊様に俺はお願いする。


『あッ、アイン!』

『なんだ? サラーム』

『アインの体の中の魔力はほとんどないんだけど。魔素も薄いわ―― これじゃ、私魔法使えないんだけど』

『え? なんで?』

『魔力は、さっきの「ラマーズ砲」で消費したわ。この空間は魔素が薄いわ…… まずいわ…… ちょっと、まずい……』

『サラーム!』

『ごめん、アインちょっと寝る。だめ、魔素が薄くて…… 意識が保て……』

『サラーム!!』

『魔素…… 吸って…… あの淫売から……」

『おい、サラーム、魔素ってまたかよ! おい! おい!』

『――』


 反応が無くなった。やべぇ。サラームが……

 どーすんだよ?

 なにそれ?

 もう一回、魔素を吸うの?

 この、池内先生から?

 逆にこっちが吸われそうな感じなんだけどぉォ!!


「うふ、どうしたのかしら、天成君。立ってないで、そこに座ったらどう? 先生も座りたいわ(ああん、緊張しているのね。ううん、私だってドキドキしている……、だって、凄く久しぶりだから)」


 長くカールのかかったようなまつ毛が、淫らがましい瞳に影をつくった。

 そして、先生は俺の方にすっと寄り添い、肩に手を置く。

 しっとりとした指から大人の女の体温が染み込んでくるようだった。


「さあ、ベッドに座って、先生も一緒に座るわ。ちょっと、お話しましょう――」

「ああ、はい。分かりました」


 俺はベッドに座った。スプリングの軋む音がピンク色の部屋に響いた。

 今時こんな円形の回転しそうなベッドなど存在するのかと思った。

 池内先生の紅い唇に、あるかなしかの笑みが浮かんだ。俺の心を串刺しにするような、なんというか、ヤバい笑みだ。


 俺の心臓がバクバク言いだした。

 血の流れが激しくなって、こめかみが痛くなってくるくらいだ。

 やばいよこの先生。存在するというだけで、強烈な媚薬だよ。以前の俺なら、もうとっくに飛びついて、押し倒して……


「うふ、天成君どうしたのかしら、顔が真っ赤だわ」


「せ、先生が…… 先生がすごく魅力的で……」


 あああああ!! なにを言っている俺! 俺の脳内にまでフ〇ンス書院ウイルスが侵入してきているのか?

 精神汚染か!

 どーすんだよ俺。こんなのばれたら、殺されるぞ。

 俺の脳裏に許嫁たちの凶悪な笑みが浮かぶ。やばい……


「ああん、いいのよ、天成君。いいの…… ここで、先生に好きなことをしていいの。ううん、正直に言うわ。私だって、天成君に好きなことしてみたいの、うふ」


 バスタオルに包まれている双丘がでかい。はち切れそうだ。しかも柔らかそうだ。大きさに至っては1個が俺の頭よりでかい。サイズだけならシャラート以上だ。

 このおっぱいも俺専用にできるのか…… いや、しかし……


「なんでも言っていいのよ。先生にしたいこと。ああん、このおっぱいを触りたいの? いいのよ。思う存分触っても」


「ふぎゃぁぁぁああああああああああああああああ!!!!!」


 俺は意味不明な叫びをあげて、先生のバスタオルをむしり取った。

 リビドーメーターがレッドゾーンを振り切っていた。


 ぽろーんと、巨大なおっぱいがさらけ出された。


 おぉぉぉーーーーーーぱーーーーーーい!!

 あばばばばばばばああああああああああああああああああ!!

 万歳! 万歳! 万歳! 万歳! 


 俺の脳内で決定的ななにかがブチ切れる音がした。


「ああん、天成君! 若い男子って強引なのね。でも、それでいいのよ―― 好きにして、先生のこと好きにしていいの」

 

 柔らかく、どこまでも沈む込みそうになる白い物体が俺の顔面に押し当てられた。

 池内先生は、俺の頭を抱え込んで自分のおっぱいに押し付けているのだ。

 甘美な地獄だ。頭の芯が痺れてきそうな臭いが流れ込んでくる。

 

「どうかしら、先生のおっぱいは? 天成君の可愛いい婚約者さんたちに、負けてるかしら?」

「あがががが! いえ! 負けてません! すっごいですぅぅぅぅ! おっぱいです! これがおっぱいです!」


 俺の脳は、おっぱいのことでいっぱいだった。もはや、おっぱいのことしか考えられない。

 体感巨乳主義の信者になりそうであった。巨乳こそが大宇宙の真理ではないかと思った。


「あああん~ いいわ、天成君、先生で、先生で気持ちよくなってほしいの~」


「あああ、先生、先生、先生、おっぱいがぁぁ」


 もはや、先生から魔素を吸うとか、吸われるとか、そんなことはどうでもよくなりつつあった。

 おっぱいだ。おっぱいを。このおっぱいを俺の物に――


 一瞬だった――


 俺の脳裏に泣いているシャラートの顔が浮かんだ。

 そうだ――

 アイツ、泣くんだ……

 俺が殺されるとかじゃなく、泣くよ……

 

 そして、ライサの泣き顔、エロリィの涙を溜めた顔が浮かんできた。

 

「ぐあぁぁぁあああああああああああああああああああ!!」


 俺は絶叫とともに、おっぱいから顔を離した。


 そして、ベッドから立ち上がる。

 ドンと背中に壁が当った。狭い部屋だ。


 顔にヌルヌルとした何かが流れていた。

 なぜか視界が紅く染まっている。


 血だ――


 血涙だった。


 俺は、先生のおっぱいから離れるため、血涙まで流していたのだ。


 そんな、俺を先生は呆けたように見つめていた。


「せ、先生だめだ! 俺には、俺には婚約者がいるから」


 荒い呼吸を整えながら、俺はそれだけを言った。

 それしか言えなかった。


「ううん、知っているの。天成君が、すごくあの娘たちを好きなのは知っているの。でも、先生も、ずっと天成君のことを大好きだったの。こんなおばさんが好きになっちゃだめ? 天成君の恋人になっちゃだめなのかしら?」


 ベッドに両手をついて、その淫靡な肢体を晒して、俺を見つめる先生。

 その身体のラインは思春期の青少年に害毒を与えること間違いなしのレベル。


「先生には魅力がないのかしら?」


「いえいえいえいえ! ヤバいです! 魅力的すぎます! ダメです! もはや人外レベルで魅力的ですから!」


「ああん、嬉しいわ。天成君。先生は、ずっと天成君で「してた」のよ…… 毎日…… 毎晩」


 先生はそう言うと、ひとさし指にぬるりと舌を這わせた。テラテラとした唾液が塗り込まれていく。


「なにを「してた」んですか?」


「ああん、恥ずかしいわ。天成君は私で「していた」かしら? うふ…… 正直にいっていいのよ。授業中、あの、私を見つめる目……」


 金髪のまつ毛が沈む込み、瞳に淫靡な影をつくりだす。


 頭がおかしくなってる女教師の、狂った告白にまたしても、俺の理性がブチ切れそうになる。

 この先生を構成する分子まで、全てが、淫乱で淫靡すぎるのだ。

 先生と同じ空間で呼吸しているだけで、気が変にになってきそうだ。


 ゆらりと、先生がベッドから立ち上がった。

 一糸もまとわぬ、大人の女の肢体が薄明かりの中、浮き上がっている。

 白い肌。

 そして、そこに刻まれた謎の紋様。

 全てを沈み込ませるかのような大きな双丘。

 細くくびれたウエスト。

 つま先まで、男を狂わせる曲線で描かれた淫靡な凶器が俺に向かって立ち上がっていた。


 圧倒的な存在感と美貌と淫靡さで言葉で表現する限界を超えている。


「ふふ、天成君も脱ぎ脱ぎしないとだめよ。私だけ、裸はずるいわ。うふ――」


「ああああ……」


「うふふ、それとも、私に脱がしてもらうのがいいのかしら?」


 口の端に仄かな笑みを浮かべ、先生は言った。

 もはや、その言葉ですら、淫靡な兵器。脳が痺れる。まるで淫夢空間に叩きこまれたようだった。


 尾てい骨をトロトロとあぶられ、はらわたをドロドロにとかされていくような錯覚に陥っていた。

 

 先生の細い指が俺の胸を這う。


 すっと撫でるように動いた。


「ああああ! 服が! 服がぁぁ!」


 俺の服が消えた。

 一瞬で素っ裸にひん剥かれていた。

 

「さあ、大人の時間よ、うふふ。たっぷりと、個人授業してあげる―― 天成君。アナタの色で先生を―― ううん、真央を染めてもいいのよ」


 ショートの金髪をふわりと揺れる。

 いつの間にか濡れた髪が乾いていた。


 ゆっくりと俺に身を寄せ、肌を合わせてきた。年上の女の人の高い体温が体の中に染み込んでくる。

 まるで、俺の体の奥底にある得体のしれないマグマをグツグツと沸騰させるような温度だった。


「ああん、先生を抱いて―― いいの、抱いて欲しいの。天成君の若い欲望で、真央のこの淫らな体を貫いて欲しいの」


 現実にこんな発言をする女教師がこの世にいるとは思ってもいなかった。

 もはや臨界点ギリギリ。メルトダウン寸前だった。


「いいのよ、天成君の魔力をたっぷり、この体に注ぎ込んで欲しいの。私の中にいっぱい出して」


 なにそれ?

 魔力?

 魔力を注ぎ込むってなに?


 一瞬、俺の頭が正常起動した。


 しかし、一瞬。


 艶々と紅色に光を反射する、先生の唇が俺の唇に重なってきた。ヌルリとした舌が俺の口内に侵入してくる。

 そして、強引な吸引だった。

 舌が絡め取られたまま、強引な吸引が開始されていた。

 

(あああん、若い男の子の魔力をもっと吸いたいの。体の中をパンパンにしてほしいの)


 久しぶりに先生の内面描写が俺の頭の中に流れ込んでくる。

 先生の指がむき出しになった俺のスィートスポットをクリクリしだす。

 

『なに? あ…… アイン…… まずい…… まずいわ、どんどん、魔素が、魔力が吸われている…… このままじゃ……』

『サラーム! どうした!』

『だ…… め…… はやく、吸いかえして…… じゃないと、消えちゃう……』

『サラーム!!』


 分かった吸うんだな。吸ってやる。吸えばいいのか!

 俺は状況を把握していた。

 先生は俺の魔力と魔素を吸い取っているのだ。なにが目的なのか分からない。もう、本能なのかもしれない。 

 つーか、何者なんだよ先生って話だ。

 まあ、それは置いておいて、俺は先生から魔力を吸いかえさないといけない。

 このままでは、サラームが危ない。


 俺は強引に先生の口を吸った。思い切り吸った。大人の女の香りが肺の中に満ちてくるようだった。


 トロロとした先生の出す液が口の中に満ちてきた。


(ああん、強引ね…… でもすごく上手。あのお姉さんに教わったのかしら? うふふ――)


 先生は俺の唇に吸い付きながら、内面描写をダダ漏れにする。

 ただ、強引な吸引がなくなっていた。俺に吸われるがままになっている。


 魔素を――

 あのクソマズイ、魔素をまた飲むのか…… 


 しかし、飲まないと、このままではサラームが……


(天成君。そんなに先生のを吸いたいの? いいの? 先生のを飲んでくれるの? うふふ、興奮してきちゃう。先生を…… 先生を天成君のものにしたいの?)


 もういいから、さっさと魔素を出してください先生。

 早く。


 ズずずずずずずずずうずずずずずずずうずずずずずずずず――


 二人が唇を吸いあう音が、淫靡な閉鎖空間に満ちてくる。


(あはぁん、出る、でちゃうわ、私の、私のがでちゃうのぉぉ、天成君、飲んでくれるの? 私のを、私の飲んでくれるのかしら――)


 先生の体がビクンビクンと痙攣しだした。


(アッ アッ あひぃン――)


 先生が高い声で脳内描写をした。

 

 どぼどぼどぼどどぼどぼどぼどぼどぼどぼどどぼどぼどぼどぼどぼどぼどどぼどぼどぼどぼどぼどぼどどぼどぼどぼどぼどぼどぼどどぼどぼどぼどぼどぼどぼどどぼどぼどぼ


 ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛


 凄まじい味と臭いの液体が俺の中に流れ込み、それを俺は強引に飲み込んだ。気が遠くなる。

 これはまた、ひときわ強烈なものだった。

 脳がシェイクされ、バーンと破裂しそうな気がした。


『あああ! アイン! いいわ! いいわ。魔素が、ドンドン流れ込んでる! あれ? なにこれ?』


『あがががががぁぁぁ~ サラームぅぅ どうじたぁぁぁ?』


『魔力回路…… アイン! なんか魔力回路まで、飲み込んでるわ! 魔力回路が増設されてる! ええ、二個、三個…… え? どんどん増えるわ』


 魔素の強烈な臭いと味の中、俺の脳内に復活したサラームの言葉が響いていた。

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