第四三話:美少女達のねっとり魔素でパンパンな俺
「あはッ! メガネ乳、まずは、てめぇの自慢の腐れ胸肉を、これで削ぎ落としてやる―― 次はクソロリ姫だ――」
無重力の中を緋色の髪がふわりと浮いた。
ライサは全身からバチバチと放電するかのように殺気を振りまいている。
まるでそこに、高圧電流を帯びたプラズマの塊が出現したかのようだった。
真っ赤な舌で唇を舐めた。美しき虐殺兵器がそこにあった。
「魔力回路から生じた魔力を筋組織に流し込んでいます。ナグール王国の王家秘伝の体術ですな」
棒読みで状況を解説するセバスチャン。
ライサのあのパワーとスピードの正体は、魔力だったのか?
そう言えば、サラームもライサを見て、魔力を体の中に流し込んでいるとか言っていたな。
「脳細胞が筋肉でできている女は、出来ることと出来ないことが判断できないようですね――」
漆黒の宇宙空間よりも黒い髪をした美女がチャクラムを構える。その眼差しは液体ヘリウムよりも冷たい。
人を殺すことになんのためらいもない切れ長の目が凍るような光を宿していた。
俺の腹違いの姉にして、幼少より英才教育を受けた生粋の暗殺者。それがシャラートだ。
重力の軛から解放された、超絶おっぱいは天を貫かんとしている。当然、俺専用。
シャラートが暗殺モードに入れば、その戦闘力はトンデモないレベルになる。
幼いころから俺はよく知っている。絶対にこのお姉様兼婚約者には逆らわないと誓えるくらいに。
「きゃはははは!! もうね、殺すのよぉぉ、あんたらお払い箱なのよぉ。アインは私を選んだのよ! 私が、アインと赤ちゃんを作るのよ!」
バーンと流麗なフォルムの体をのけぞらし、エロリィが叫ぶ。その美しくも甲高い声が、宇宙空間に響く。
金色のツインテールが星の煌めきの中、キラキラとフォトンの粒子をまき散らす。
全身が薄らと青白く輝いてくる。恐るべき禁呪使いが完全に攻撃体勢に入っていた。
「アインの赤ちゃんだと! クソロリ姫! てめぇ! 孕むのは私なんだよ!」
ギンっ! とライサがエロリィを見つめる。炎のよう色をしたルビーの瞳だ。
「アインの子どもを孕むのは私です―― ずっと…… アインが赤ちゃんのときから狙っているのです」
心まで吸い込まれてしまいそうな黒い瞳で、シャラートが小さくつぶやく。
重いよ……
つーか、どんだけ思いをため込んでるんですか? お姉様。
シャラートは、口元には酷薄そうな笑みを浮かべている。完全に暗殺者の顔だった。
「なあ、アイン」
エルフの千葉がふわりと俺の方を振り向いて言った。
長い耳、エメラルドグリーンの瞳と長い髪。
それは幻想世界からやってきた美少女にしか見えない。しかし、中身は男子高校生。俺以上の特濃ヲタの。
「アインは、エロリィちゃんを選ぶで、いいのか?」
「あッ? 俺?」
俺は、言葉に詰まる。
千葉の言葉で、全員が俺の方を見つめた。
冷たい黒曜石のようなシャラートの瞳。
燃えるルビーのようなライサの瞳。
北欧の神秘の泉のような碧いエロリィの瞳。
どれもこれも、特上級の超絶的な美形なのである。
その視線に圧倒される俺。
「あはッ! そうだな! アイン! アインはこのクソビッチのロリ姫でいいのかよ?」
赤黒く染まった釘バットでエロリィを指した。
ダンジョンで散々、モンスターの血を吸った釘バットだ。
「そうですね―― アインの言葉をまだ聞いてなかったですね。どうなんですか? アイン」
クイッとメガネを持ち上げ、シャラートが言った。
「いや、どーなんですか? って言われても、それは、人命救助だったしさぁ……」
「なによ! アンタね! 私の魔素をあんなに美味しそうに飲んだじゃないのぉぉ! もうね、人命救助とか言って、逃げるのは信じられないのよ!」
「いや、美味しそうに飲んでないし……」
「アインは、飲み込んだあと『本当にありがとうございました』って言ったのよ!」
なにそれ……
いってねーよ。俺は。
あんなに苦しんでいたよね。それに、魔素はクソまずいから。全然美味しくないからね。
で、セバスチャンは、このままじゃエロリィが死ぬといっていたよね?
俺はセバスチャンを探した。いない。
どこいった? あの中年男は! なんで消える?
セバスチャン! てめぇ! いい加減にしろよ!
俺は、新鮮な殺意を覚えた。
「よし! 問題は分かった。このエルフの千葉より意見具申をさせてもらおう」
エメラルドグリーンの髪をふわりと舞わせ、エルフが高らかに叫んだ。
清らかな声音が大気を清浄にしていくような気がした。まあ、気がしただけ。
「あはッ! エルフちゃん、いいぜ、言ってみろよ」
「そですね、話しは聞いてみます」
「もうね、下僕だけど聞いてあげるのよ」
戦いが中断した。
3人の凶悪な許嫁が素直に、千葉の発言に耳を傾けるというのだ。
なんと言うか、意外にこのエルフの千葉は、許嫁たちに信用されている。なぜかわからんが。
まあ、俺にとってもそれは好都合ではあった。
『なーに、殺し合い止めちゃうの? おもしろくなーい。それなら、アニメ見ましょうよ。このエルフに言って、アニメ見たい』
俺の体内に引きこもる精霊のサラームが言った。案の定この状況を楽しんでいた。
『それは後にしてくれ! それどころじゃねーから』
『えー 「宇宙空母ブル〇ノア」で宇宙対策を研究したほうがいいわ』
『それ、宇宙行ってないから』
羽虫並みの脳みその精霊様の提案は俺によって却下である。
「千葉、どういう考えなんだ? 聞かせてくれ」
「ああ、簡単な話だ。魔素注入も、『許嫁エッチ拡散制限条約』の付随事項として付ければいい」
「はあ?」
「エロリィちゃんだけではなく全員の魔素を飲めば平等なのではないかと思うのだ?」
「はいぃぃ?」
超絶ドアホウ様か?
魔素はクソマズイっていうか、人間の飲むもんじゃねーよ。異常なほど生臭いし。
全員のを飲むの?
つーか、エロリィ以外も生成できるの?
「それは、名案でございますな」
「てめぇ! セバスチャン!」
俺は背後を振り向いた。侍従のセバスチャンが平然と立っていた。相変わらず無表情。
「ここは、やはり全員の魔素をお飲みになるのが最良の決断ではないかと愚考いたします」
「本当に、言葉の通り『愚考』だな!」
「おそれいります」
恭しく頭を下げるセバスチャン。気力が根こそぎ萎えてくる俺。
くそが! つーか、魔素ってのは誰でも作れるのか?
どーなんだよ。
「許嫁チーム作戦会議!」
エルフの千葉が高らかに宣言した。
シャラート、ライサ、エロリィ、千葉が円陣を組んだ。
2度目の作戦会議だな……
『サラーム……』
『まあ、これはこれで面白いかもしれないわね』
『おい! 羽虫! 魔素ってなんだよ? 誰でも作れるのか?』
『羽虫じゃないわ! 私は精霊王になる選ばれた存在だわ!』
『分かったから、どーなんだ? 魔素ってなんだ?』
『アインも生意気になったわね!』
『悪かった、羽虫は言いすぎたすまん』
素直に謝る俺。まあ、コイツとの関係を悪くしても俺にいい事はなにもなかった。
俺はサーラムの機嫌をとった。
単純な脳みそなので、すぐに機嫌が戻る。ただし、これが終わったら、アニメ鑑賞会だ。
『魔素は、大気中に存在しているわ。それを人間は吸収して体内で濃度を上げるの。それを魔力回路で魔力に変換するわ』
『そうか、魔力の源泉だから、魔素ってことか……』
『だから、人間なら誰でも作るわね。そこから効率よく魔力を生成できるかどうかは、色々だけど』
要するに、この異世界の人間は魔素を作れるということだな。
禁呪とか関係ないのか……
そんな俺の思いとは関係なく、物理結界に守られたパンゲア城は、異世界の惑星を起点に周回軌道に入っているようだった。
第一宇宙速度で衛星軌道を回っていることになるのか。
どーすんだよこれ?
魔素を飲むとか、飲まないどころじゃねーだろ……
◇◇◇◇◇◇
「あ~ アイン――」
「なんでしょうか? お姉様」
シャラートが頬を染めて俺を見つめる。先ほどまでの殺気は消えている。斬れるような美貌のクールビューティのお姉様になっていた。
メガネ――
おっぱい――
長い黒髪――
おっぱい、おっぱい、ああ、おっぱい。俺専用の大きなおっぱい。
やはり、俺はこのシャラートが大好きなようだった。
当然、シャラートも俺にガチ惚れである。
「私の魔素を飲んでもらいます――」
ひんやりとした細く白い指が俺の頬に当たる。
俺は動けない。だって、気持ちいいから。
「あはッ! 私もだから! 私の魔素も飲んでもらうから」
後ろからライサが飛びついてきた。勢いで全員が飛んでいく。慣性の法則だった。
「ま、いいわよ今回は、でも孕むのは私が一番先なのよ――」
ちょっと怒ったようにエロリィが言った。金色のツインテールが流れるように一瞬視界に入った。
俺とシャラート、ライサは結界につつまれたパンゲア城の上空を舞っていた。
2人とも俺に抱き着いている。
「一気に流し込みます――」
「あはッ! 私もいくよ――」
「ちょぉぉぉ! まって! ちょっと!」
無重力状態の中、シャラートとライサは捕食獣のように俺を捕える。逃げられない。微動だにもできない。
柔らかな美少女の体が気持ちいいが、これから起きることを思うと震えがくる。
しかし、俺の都合など考えてくれないのである。2人の許嫁は貪るように俺の口を塞いできた。
そして、舌でで強引に俺の口を開けた。2本の舌が俺の舌に絡みついてきた。
ダブルベロチュウだった。頭の芯が痺れてくる。やばい……
次の瞬間だった――
おげぇぇぇええええええええええええええええええええええええええええええ
宇宙空間に美少女ヒロインが、その口から絶対に出してはいけない音が響く。
げぇ、ゲゲゲげげ―― おぇぇぇぇえええええええええええええええええええ
悠久の宇宙空間をバックに俺の口の中には、大量のネバネバした液体が流れ込んできた。
白目向いて痙攣する俺。
脳天から足の先まで震える。
口をシャラートとライサに塞がれ、そこからは大量のヌルヌルした何かが流れ込んでくるのだ。一部が鼻から噴出した。最悪だこの臭い。
エロリィのに負けず劣らず、凄まじい味だと臭いだ。
頭の芯が痺れてきた……
あががががががっがあああああああああああああああああああああああああ
ちゅぽーん――
超絶美形の許嫁2人が俺から口を離した。
「キレイに飲み干しましたね―― アイン。やはり愛しているのです」
「あはッ、私の魔素も全部飲んでくれたんだね! アイン」
「あ、ああ、あああああ…… ぐるじい…… 死ぬ…… 俺死ぬよ…… パンパンだよ…… パンパン」
俺は薄れ行く意識の中で、2人の超絶美形を見つめる。
口元が、白濁の液体でぬれていた。
ライサがそれを人差し指でぬぐった。
そのまま、その指を俺の口の中に差し込んできた。ベロの上にダイレクトに、魔素の味が広がっていく。
気が狂いそうになる。
「ああ、でも少しこぼしてますね――」
シャラートは、俺の口の周りにこぼれてついている、魔素を自分の口でぬぐい取っていく。
普段であれば、気持ちいい行為なのだが、魔素の臭いと味で、地獄の責め苦である。
この2人はこの魔素の味と臭いが平気なのか?
「さあ、これで最後です。アイン」
シャラートが俺の口を塞ぐ。自分の唇で。
またしても、流れ込む壮絶な味。
口でぬぐい取った魔素を俺に流し込んでいる。
「エロリィちゃん――」
「あ? なによ下僕?」
「アインがずいぶん膨れ上がっているのだが……」
「まあ、3人分の魔素を飲めば普通なのよ」
下の方から会話が聞こえる。エロリィと千葉だ。
全ての重力から解放された空間の中――
俺は、許嫁に抱きかかえられながら、魔素で体をパンパンにさせていた。
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