78話目 狩にも性格が出る!?

 皆の体調を考えて、濃厚な魔力溜まりからやや離れ、あたし達は魔物狩を再開させた。


 …………何だろう…。


 皆に比べて体調がすこぶる良くなったので、弓を辞めてやはり魔法で戦う事にした。


 だって、使っても使っても魔力が全然減らないし、使う程、力もテンションも上がっていく感じなのよ。


 のそのそと出てきたアンデッド系のブラックボーンも瞬時に灰に焼き尽くしちゃうファイヤボールに気を良くして、後から出てきた牛サイズのブラックバタフライや頭が肩に2個付いたゾンビのダブルグルーも一気にファイヤボール30個程作って蜂の巣にしてやった。




「あははははははははっ!!すごい!すごい!ヤバい!」




 何か楽しくなって来ちゃっている。それはあたしだけじゃなくて、アルフもシルバニアもだった。


 アルフはツボに入ったようにゲラゲラゲラと笑いながら、ブルーグリズリー達ををウィンドゥトルネードでズタズタに切り裂いて、泣き叫ぶ姿を見てあたしとハイタッチする姿にドン引きの他のメンバー。


 シルバニアはニヤニヤとドSの何とも悪い笑顔のまま、雷の矢をまるでマシンガンの様にオーガキングやオーガナイト、オーガジェネラル達の頭を一撃で落としていく。多分、叫ぶ暇もないんじゃないかな。



「フフフフフフ。何秒で落とすかの挑戦ですね」



 とか言っている、怖い笑顔のシルバニア。



 もしかしたら、この時のあたし達は魔素溜まりで魔力酔いを実際は起こしていたんではないかと思う。


 皆みたいに気分が悪くなるんじゃなくて、普通のお酒に酔うような感じで。其々魔力量がハンパなく多いから、許容範囲も多くてこんなもので済んでいたのではないかな?


 妙なテンションマックスで次々と狩っていくあたし達の姿に、ロータス侯爵令嬢が呟く。



「狩が得意だなんて何てわたくしは烏滸おこがましく、自惚れていたのでしょう。あの方々に比べたら、わたくしなんて、ほんの始めたばかりの子供の様。」



 1人盛大に勘違いしているようだった。


 オーレンもグレンも特に否定したり、間違いを正しもしなかった。

 取り敢えず、気が済むまでお三方には楽しんでもらいましょう。よっぽど日頃の鬱憤が溜まっていたんだろうなと旅の締めくくりには丁度良いかと、好きにさせて眺めていた。アレキサンダーだけはふるふる震えながら、3人のテンションに当てられて怯えた目で地べたに座ったまま固まっていた。



 ああ、真面目だからね。少し手を抜く位で丁度良いんだけどね。あたし達と居るには。



 すっかりスッキリしたあたし達は場所を昼食で選んだ川の側の広場に転移した。川が近いので多くの魔物を捌くのに丁度良かったから。




「しかし、狩ましたっすね。暫くは魔素溜まりも落ち着いて、魔物溢れるのも当分大丈夫そうっすよね。でも、流通させるの暫く置いた方が良いんじゃないすか?このまま売ったら、値崩れおこすっすよ?」



 オーレンがブルーグリズリーの比較的マトモな毛皮を捌きながら、あたし達に問いかけた。


 うん。ちょっと量が多すぎるかもね。ってか、自分達で使うのもアリだよね。次の女子会で考えるか。



 あたしは迷わず、ロータス侯爵令嬢を次の女子会に誘った。


 嬉しそうなロータス侯爵令嬢は輝く笑顔を零れさせ、先程の憂い等始めから無かったごとく、騎士の作法で手を胸にあて跪いた。



「どうぞ、わたくしの事はフローディアとお呼びください。いつでも言っていただければ馳せ参じます。ハルネ様の手足となり、支える事をお許しください。わたくしフローディア・ハープ・ロータスはハルネ様に一生の忠誠を誓います。」




 ん?


 あれ?


 何か違う事になってない?

一生の忠誠って、んな大袈裟な!騎士様の家系って、エライ仰々しいよね。


 これって、女子会メンバーに参加してくれるっていう話で良いのよね?

つまり、いつでも呼んでくれたら参加バッチリOKよ!って事かな?


 まぁ、良いか。兎に角、女子会メンバー1人ゲットだ!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る