49話目 オーガ狩り行こうぜ!2

 メイジオーガが防御魔法をした後に生き絶えたお陰で、オーガロードとブルーオーガも何匹か、まだ生きているようだった。


「グギャゴギギ…。」

「ガギャラゴギ!」


 オーガロード達は下半身が凍って動けなくなっていて、なんとか動かそうと上半身を左右に振っている。



「オーガ達が動けなくなっている今のうちに攻撃せよ!」



 ダンビラスさんの号令で、騎士団達は一斉に攻撃をかける。


 シールス魔導師隊達も雷や闇、光魔法を使って、氷を溶かさないよう攻撃している。


 あたしは今度は支援に回った。

転移魔法で、怪我した人を連れて安全な場所へ運び、シルバニアやミハイルが聖なる光魔法で癒す。

 時には防御魔法でブルーオーガの氷魔法を跳ね返したり、その場で回復させたり、転移魔法を使いチョコチョコ移動していた。


 マグノリアさんやオーレンやジョージはオーガロードに3人ががりで戦っていた。

 オーレンが


「トルネードクラッシュ」


と唱えながら竜巻をオーガロードの身を包み込む。ジョージが炎を纏った剣で十文字に体を刻むと、オーガロードの体から血が吹き出して、真っ赤に染まる。グッタリした所を見計らって、マグノリアさんが大剣で首をねた。


 アミダラさんの所はブルーオーガをジェーンが上半身をイバラのロープで固定し、ミトレスがその上から氷魔法で更に固定した。その後、女性メンバーが袋叩きにしていた。怖っ。


 王立ギルド隊では傷だらけのオーガロードと全員で戦っていた。その中にオールの山で出会った、ジレンさんが混ざっていた。

 剣さばきも動きも中々凄い。厳しい土地で生きてきた人だけあって、格好良かった。ちゃんと皆と連携もとれているし、王都で生活出来ているみたいで、良かったな。


ダンビラスさんは流石!一人でオーガロードと戦っていた。そして、一撃でオーガロードの首を刎ねた。


 おっと!一人怪我人が出たので、急いで転移魔法で怪我人の所へ行く。軽量魔法でヒョイとお姫様抱っこして、また転移して連れて来た。


 全体を見渡して見たら、残りは三頭になっていた。そろそろ終わりそうね。日が落ちかかっていたから、丁度よかった。暗くなる前に帰れそう。


 おっと、高坂が新しい魔法を試している。あたしも新しいやつ試したいとウズウズしてきて、転移魔法で高坂チームに参加した。


 それは転移しながら、敵の攻撃をかわしちゃ「バンバン」と風魔法ピストルで打ち込み。オーガロードが手を振りかざすと、転移魔法でかわす。で、後ろからバン!と頭に当てたら、そのまま前向きに倒れた。



「なんだよ。援護に回ったんじゃなかったのかよ!美味しい所だけ、全部持っていきやがって!」



 高坂が叫んだ。



「だって、高坂が新しい魔法を試しているって見てたら、あたしも新しい攻撃方法を試してみたくなっちゃって、ジッとしてられなかったんだもん。テヘ。」



「テヘじゃねぇ!!」



 そんな感じで会話してたら、お試しでオーガロード倒すのかよって声があちこちから上がった。ありゃ。


 魔石が研究で欲しかったので、アルフに頼んでおいたら、大きな特大魔石を貰えた。やったー!!



「良いの?こんなに大きな魔石貰っても。」



 と聞いたら、アルフに呆れたような声で、言われたや。



「何言ってるの?今日、春音が倒したの、もっと大きなのも沢山あるよ?研究に使うのならこれ位でも良いかと思ってたんだけど、もっと欲しかったら、言えばあげるからね。」



 まぁ、良かった。実は魔道具研究始めたら、見事にハマちゃってね。あたしの指輪みたいに防御系から、攻撃魔法や生活魔法用に、色々試してみたかったのよね。こういう魔法研究とかしているのなら、アルフも機嫌が良いのよね。遠くに魔物狩り行こうとすると、渋い顔になるから。シルバニア付けさせようとするしね。魔族が狙っている、今はお一人様行動は止めておくよ。


 オーレンがオーガロードから出たレアアイテムの俊速腕輪を持ってきた。研究に使うなら、どうぞと言われたので、仕組みを理解する為貰った。これは良い研究道具だわ。



「また伝説残しちゃいましたね」



 とオーレンに揶揄からかわれた。何言ってるのかしら、今日は対してってもいないのにね。大きな魔法2回と高坂達と一緒に戦ったのだけじゃん。魔力だって、1/4も使ってないのに。でもこれにはアルフも同意で、シールス魔導師隊と王立騎士団に春音の力を見せられたのは、良い事だと言われた。貴族や騎士達の牽制けんせいにもなるし、これであたしに逆らう者は居なくなるそうな。



「良かったじゃないっすか?春音様を悪く言ったり、悪い噂を流せば身が危うくなるって、充分理解出来たんじゃないっすか?」



 はいはい。でも、あたしの凶暴説の噂だって、十分悪い噂じゃないのかねぇ?

 はぁ〜あ。今日は露天風呂でも入りたいな。アルフの所のお風呂、借りたいよう。


 先に帰っても良いか聞いたら、許可が下りたので、ちょっとお風呂の用意をしておこう。


 あたしは転移魔法で、先に王宮に帰った。急に姿を現したあたしを見て、王宮の侍女達や近衛兵隊が慌てて近付いて来た。口々に「春音様!大丈夫ですか?」と言っている。


 王宮に残っていたマチルダもあたしに気がつき声をかけた。


「春音様!?大丈夫ですか?オーガ達はどうでしたか?もし、人数が足りないようでしたら、私もこれから転移して参加しますが。」



「え?…あー!ううん。もう討伐は終わったよ。あたしが逃げて来たと思ったの?大丈夫よ。全員無事だから。皆ももうすぐ帰ってくるよ。あたしは馬車に乗るのが面倒だったから、先に帰ってきただけなのよ。」



 皆がワァッと歓声を上げた。良かったって、安心したみたい。



「ごめんね。驚かせて。」



 一応謝っておいた。そうよね。急に姿を見せたら、普通は驚くのよね。最近のあたしは色々、麻痺して来ているのかも。



女王に先に報告に行った。

心配していた女王は安心したようで、


「皆、疲れて帰ってくるのじゃから、出迎えの準備をしておこう。ありがとうの、春音や。」


と言った。


女王は玉座から降りて、跪くあたしに同じく膝をついて、抱きしめた。

びっくりした。あ〜あ、良い匂い。


「そなたが来てから、精霊がわたくしに話かけてくるようになったのじゃ。あの子達は大丈夫だと、安心するようにいつくしみの心をくれるのじゃ。ありがとう。そなたのお陰じゃ。」


耳元で誰にも聞こえない声でささやいた。


そしてお互いの顔を見合わせて、微笑みあった。


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