第213話酒井党
次に俺が切り崩しを図ったのが、犬甘・主殿・油井保を拠点として勢力を持っていた酒井党だ。長年の戦乱によって勢力を増したり、逆に著しく減退したりしていた。俺が京に勢力を築く頃は、波多野家の台頭が激しく、酒井党は勢力を減退させていた。そこで八代・油井・初田・栗栖野の酒井四家が結束して対抗しようとしていたが、抵抗虚しく徐々に劣勢となっていた。
酒井四家は更に、八代からは宮林・福井・初田・平尾・西川が分かれ、油井からは山俵・林・平井・西垣の諸家が分かれ出てそれぞれ多紀郡南部に割拠していた。
そんな酒井党の中で、波多野家の配下となるように一族を説得する者は切り離し、種子島家に忠誠を誓う者だけを集め、丹波国総司令官の下につけた。
油井城主:酒井上野介秀正(氏盛)
西油井城主:
栗栖野城主:酒井政信
南八代城主:酒井主水
高仙寺城主:酒井金吾
大沢城主:酒井勘四郎
波賀野城:矢代氏吉
俺が丹波国の軍総司令官に抜擢したのは戸次丹後守鑑連と言うもので、歴史上は立花道雪と言う名で勇名を馳せている武将だ。軍副総司令官に抜擢したのは角隈石宗と言うもので、歴史上は大友家の軍師的な存在で、人格も整った文武両道の武士だから、立花道雪と丹波国衆を繋ぎ役割を任せられる。
戸次丹後守鑑連(勇将・立花道雪):丹波国軍総司令官
角隈石宗:丹波国軍副総司令官
もちろん2人を運んだのは俺自身で、定期的に威圧も兼ねて鯨や鮫を担いで丹波国衆城砦の上空を飛んでいたが、1日休んで2人を大宰府から京に運んだのだ。もちろんその時も、丹波国衆城砦の上空を飛び、俺に神通力がある事を知らしめるようにした。
この時代には神や妖怪などの不思議が信じられており、俺が空を飛んでも敬い恐れはするものの、まやかしとは思わないのだ。素直に俺が神の使いだと信じるのだが、同時に不思議が信じられているからこそ、平気で戦いを挑む勇敢な武士もいる。
俺の懐に入りながらも、皇室と朝廷の意向を巧みに使い、自家の繁栄と保身を図る波多野一族は、度胸も能力もあるとも言える。彼らを使いこなすのも俺の度量(どりょう)なのかもしれないが、播磨国遠征を前に邪魔をされた俺としては、潰すに潰せず複雑な心境である。
だが波多野家の居城・八上城を散り囲むように、酒井一族の城が点在している。酒井一族の大半を味方に引き入れることが出来たので、波多野家は常に俺に包囲されているような状態だ。この状態に置かれた波多野一族が素直に俺に降参するのか、それとも何か仕掛けて来るのか、それによって波多野家の命運が決まるだろう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます