第65話一条家の野望
1537年6月『大隅国・清水国分城』種子島右近衛権少将時堯・9歳
「父上様、一条権大納言様にはお返しをせねばなりませんね」
「そうだな、権大納言様はそなたの義父となられたのだ、出来得る限りの助力をせねばなるまい」
於富姫の輿入れに際して、2000貫もの化粧領地と勇猛な家臣を送ってもらった以上、その誠意に答えない訳にはいかない。そこで土佐国幡多郡清水地区・三崎地区・大岐地区の湊を開発整備して、土佐国に直接資本投資をする事にした。
さらに開発を担う工兵隊・輸送隊・生産隊を合計1万兵送り込んだが、1万の兵力を後方に得た土佐一条家の一条大納言房家殿は、嫡男・一条左近衛大将房冬を総大将に任じ、守役の敷地民部少輔藤安を副将とし、支配下にある高岡郡5000貫の津野定勝に援軍を出させ、高岡郡4000貫を領地に持つ大平元国を攻め滅ぼす軍を起こした。
俺が見る限り一条大納言房家殿は、大平元国を攻め滅ぼした後は、 吾川郡5000貫を領地とする吉良宣経、長岡郡5000貫を領地とする本山茂宗、香美郡4000貫を領地とする香宗我部秀通と同じく香美郡3000貫を領地とする山田元義、長岡郡3000貫を領地とする長宗我部国親、最終的に安芸郡5000貫を領地とする安芸元泰を攻め滅ぼし土佐を統一するつもりだと思う。
ただ傲慢な長宗我部兼序が、本山家・山田家・大平家・吉良家ら連合国衆軍に攻め殺された際、兼序の遺児・長宗我部国親を保護し長宗我部家の再興を助けた事実がある。もしかしたら長宗我部国親は味方に加える可能性もある。
まあそんな事は俺や種子島家に直接関係はない。
問題は正室となった於富姫の実家となる土佐一条家が、それなりの勢力を維持してくれないと種子島家の奥が揺れてしまうと言う事なのだ。実家が没落してしまうと、於富姫と離縁させて、新たに軍事同盟を結ぶに相応しい家から、新しい正室を迎えさせようとする家臣が出てくるのだ。
そんな事になってしまうと、於富姫との間に男子が産まれていれば最悪の状態となり、種子島家臣団の中で勢力争いのお家騒動を勃発させてしまうのだ。そんな事になれば人間関係が苦手な俺は、精神的に消耗して気鬱の病で寝込んでしまう。
そんな事にならないように土佐一条家の背後を護るべく、伊予国に勢力を持つ西園寺十五将に備えて兵力を展開させた。特に国境を接する常盤城主・観修寺基賢が動けないように、国境の城を整備強化した上で兵を駐屯させた。
まあそんな事は四国方面総司令長官に任命した時政青龍に任せればいい、今俺の為すべき事は一条於富姫、乳母・侍女たちとの人間関係を築く事だ!
奥が心休まる状態で無いと俺の精神が安定しない。まずは於富姫と仲良くする為に時間を作って遊ぶしかない。今日は1人あやとりから始めて、於富姫と2人あやとりにまで持ち込めれば上々だ。
だがここで断っておくが、俺はロリコンではない!
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