第14話海軍活用・家臣団再編・軍用動物

1535年1月『大隅・富田城』種子島犬楠丸・7歳


「若殿、水軍の再編成を終えることが出来ました」


「そうか! それでは彼らにも鉄砲・焙烙玉・火箭の使い方を学ばせてくれ」


「承りました」


 大隅国を支配下に置いた俺は、最初に水軍衆を全て俺の直臣化した。彼らを手足の様に扱えて初めて本州・四国・琉球に侵攻することが出来る。だからこそ、元々の水軍衆に奴隷衆を加えて元の領主の色を薄めたのだ。


 俺は水軍衆の訓練も兼ねて、艦隊を集団行動させての追い込み漁をさせた。必要な戦船や漁網は明国や日本各地から商人が掻き集めてきた。その為の支払いは全て鯨から作り出した、石鹸・蝋燭・シャンプーで済ませた。この漁業で得た魚を将兵の食事に加えた為、今まで支給していた玄米・鯨肉・鮫肉の食事がさらに改善された。


 種子島家の奴隷・足軽の給料・食事内容の噂は瞬く間に近隣諸国に広まった。そのため各地の足軽や喰うや喰わずの民は、先を争って種子島家の足軽になるため集まって来た。


「若殿、家臣団の再編ですが、明国や南方・南蛮人の奴隷だけでなく、日本の東国・畿内・西国の奴隷とも言葉が通じません!」


 まあこれは仕方がない事だ、この世界この時代では同じ日本でも各地で方言がひどく言葉は通じない。


「では新規の奴隷や足軽も学校で学ばせよ」


「しかしそれでは開墾開発や漁業に支障がでてしまいませんか?」


「だがいざ合戦となった時に命令が通じない方が重大な問題だろう」


「確かにその通りでございますな」


「それにな青龍、全ての家臣が読み書き算盤が出来れば、種子島軍の総合戦闘力は著しく向上するぞ」


「それはどいう事でございますか?」


「1兵1兵が、偵察の折に伝書鳩に手紙を書いて託せるし、年貢の計算はもちろん合戦時の補給も簡単になるのだ」


「確かにそうでは御座いますが、並大抵の労力では御座いませんし、数年で出来ることでもございませんが?」


「おいおいおい、種子島家はすでに実質的な大隅国の国司で守護だぞ、民を慈しみ導く責任があるのだ!」


「若殿がそこまでの決意を為されているのなら、我ら家臣団は誠心誠意お仕えさせて頂きます」


「うむ、頼んだぞ」


 俺の種子島家への改革はあらゆるところの及んでいたが、その1つが伝書鳩と鷹匠の育成だった。種子島家は当初、種子島・屋久島を主とした島々で組織されていた。当然連絡は船で行き来するしかなかったが、海が荒れている場合は連絡が取れない。だから空を飛ぶ連絡手段・伝書鳩の育成は必要不可欠だったのだ。だが同時に敵が伝書鳩を真似た場合の対策として、伝書鳩を狩る鷹の育成も行っていた。


 同時に人間が太古からパートナーとして活用してきた犬も訓練していた。近隣の城と城を結ぶ伝令犬として育成訓練するのはもちろん、警察犬・軍用犬としても育成訓練していた。自分が根来忍者を活用する以上、敵も忍者を送り込んで来ると考えなければならない。防諜のために犬の嗅覚と聴覚を活用するのは当然だった。

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