第51話獣人変化
「御初に御目にかかります、ハナセダンジョンで冒険者をしていたツェツィーリアと申します」
「同じくシャルロッテと申します」
「同じくクレメンティーネと申します」
「同じくコルドゥラと申します」
「同じくダニエラと申します」
「よく来てくれた、私はアバーテを任されているべアトリクスと言うものだ。最初に確認しておきたいのだが、君たちは人狼族で間違いないのだね」
「はい、何なら証拠として今ここで変化させていただきます」
「今日は新月から7日目だが、この時期に獣に変化できるのか?」
「はい、我ら全員が新月日(しんげつび)でも完全獣形態に変化できます」
「そうか、それなら好条件で召し抱えさせてもらうが、できればローゼンミュラー家ではなくサートウ家で召し抱えたいのだ」
「はて? あまり聞いた事のない家名ですが、騎士家ですか?」
「先日バッハ聖教皇家から騎士家に叙勲(じょくん)されたばかりだが、まもなく準男爵に陞爵(しょうしゃく)される予定だ」
「私たちも仕官を考えていましたので、貴族家や有力騎士家の動向は常に気に掛けていました。しかしながらそのような家名は聞いた事がありません、どう言う家か教えてくださらないと、仕官するとは申し上げれません」
「それはよく分かるが、これは我がローゼンミュラー家とサートウ家の存亡にかかわる重大事なのでな、そう易々(やすやす)と教える訳にはいかんのだ。だが5人が人狼族でも突出した戦士であることを示してくれれば、秘事を明かすことができるかもしれん」
これまでの会話と画像は、アバーテ城の謁見(えっけん)の間(ま)に仕掛けられているカメラとマイクを使って見聞きしていた。もちろんノゾキ趣味のためでは無く、彼女たちの実力と人柄を確認する為だ。まあ日本での資金を確保する為に変化画像は動画投稿させてもらうが、冒険者や傭兵に裸を見られて気にする者はいないそうだから大丈夫だろう。
話を聞いていると、彼女たちは五つ子なのだそうだ。基本的に人狼族は多産であり、1度に4~6人が産まれてくるそうだ。さらに家族への愛情と集落への帰属意識(きぞくいしき)が強く、リーダーの両親と2~11人程度の未熟な子供で家族を構成し、自給自足に近い生活をしているそうだ。
ただ子供たちは1人前になると、新たな自分の家族を作るために家族から離れて、パートナーとなる異性を探す旅に出るそうだ。今回は故郷(ふるさと)の森に新たな家族が自給自足をする余地がないため、5人姉妹で冒険者をやりつつ、優秀な男と住むべき森を探す旅に出たそうだ。
5人が変化できるのを確認したところで、べアトリクスが確認してきた。
「彼女たちと御会いになられますか?」
「ああ頼む」
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