第36話ネット販売
「一朗君、出店手続きは問題無い?」
「心配して頂いてありがとうございます、全てネットで手続きできるので、異世界にいても問題無く手続きできました」
「そう、それならいいの、どうしても日本で必要な手続きがある場合は、遠慮なく言うのよ」
「はい、ありがとうございます姉さん。顧問弁護士を御願いしている所でも無理なことがあるようなら、遠慮なく姉さんに御願させていただきます」
「そうしてね、それと販売価格は時価にするの?」
「はい、それに近い形になります。販売日の相場に加工料金・包装料金・配送料金を加えた値段にしようと思っています」
「オリジナルの3g金銀貨だから、金貨は1万4565円プラスアルファなよね?」
「はい、でも包装と言っても、ローゼンミュラー領の職人が作った木箱や手漉きの紙に包むだけです」
「ローゼンミュラー領の職人を使う事で、友好関係を深めると共に、いざという時に領民が一朗君に寝返る可能性を高めるのね?」
「そこまで深くは考えていません。でも、僕が職人を集めたり引き抜いたりしたら、相手は恨みに思うかもしれません。そんなことになって、余計な争いごとを起こしたくはないです」
「そうね、いつネットが繋がらなくなったり、ドローンが行き来できなくなるか分からないものね。日本の野菜やキノコを独自の方法で栽培させているけど、最悪の場合に今の力を維持できるはずないものね」
「風力発電や水力発電を中心に、エネルギー源を確保していますが、ドローンが使えなくなると永続的に力を維持するのは難しいと思います」
「今のうちに一朗君を運べるくらいのドローンを開発させたいけれど、最低でも3000万円くらい必要になるそうよ。預かっている金貨を換金できればいいのだけれど、2度目だし、3000万円となると色んな所に目をつけられてしまうわ」
「分かっています、無理されないでください。動画配信の収入も、来月は600万円を超えると思いますし、海外の反応も大きいので再来月は1000万円を超えるはずです」
「そうね、それに最悪の場合は、これから始めるオリジナル金貨の販売価格を、時価以下にすれば飛ぶように売れると思うわ」
「はい、それも考えましたが、それも目立ちすぎると思うんです」
「そうね、目立ってしまうわね。だから最後の手段よ」
「はい、異世界の商品をネット販売できるように、ローゼンミュラー領の職人が作れるものをリストアップしてもらっています。金貨が1日10個売れてくれれば、3000万円くらいなら7カ月で溜まるのですが」
「動画収入もあわせたら、3000万円は直ぐに溜まりそうね。だったら100kgを運べる有人ドローン開発を依頼していいわね?」
「はい、僕の方からもメーカーに依頼してみます」
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