第22話獣人奴隷・龍子視点

「さて、御前たちには今日から私の弟の奴隷になってもらうが、それについてはアーデルハイトたちから聞いているか?」


「「「「「はっは~」」」」」


 ローゼンミュラー家の食堂に設置されているノートパソコンの前には、ハナセダンジョン都市で購入された各種獣人奴隷が並ばされていた。事前に彼女らには、今度の主人が変人の大魔導師である事が伝えられていた。だがさすがに遠隔地から姿を飛ばして話が出来る魔道具を目の当たりにしては、魂が消し飛んでしまうほど驚愕(きょうがく)し、土下座して忠誠を示すことしか出来ないようだ。


「私の弟は気難しい所があるが、極めて優しい性格をしている。だが魔道の研究の為に、御前たちの変身姿を見て記録する必要がある。そしてその記録をするためには、ここで御前たちが見ているような魔道具を使う事になる。だが決して危険があるものではないので、心配をしないように」


「「「「「はっは~」」」」」


 この世界には多くの獣人が住んでいるが、月相によってその形態が変わるのが普通なのだが、持って産まれた才能と努力によってある程度はコントロールできることが分かった。純粋に戦闘能力だけを考えれば、魔力の影響がほとんどない新月期でも完全獣形態に変化できる者が高い。だが、そんな者は冒険者や兵士として重宝されるので、奴隷として売買されている事は少ないそうだ。まあ戦争で捕虜となった者は別らしいが、そんな者も時間が経てば自分で自分を買い戻してしまうらしい。


「姉ちゃん、後は俺から話すよ」


「大丈夫?」


「ネットで命令するのは大丈夫みたい」


「じゃあ私は聞いているから、やってみせて」


「うん、頑張るよ。さあ君たち、俺が今日から君たちの主人になるイチロウだ」


 今まで画面に写っていた私に代わって、今度は一朗君の姿が画面に映し出される。


「「「「はっは~」」」」」


 眼の前の獣人奴隷は、急に画面の人間が入れ替わった事に恐(おそ)れ戦(おのの)き、再度土下座した。


 まず一朗君がやるべき事は、動画再生回数を増やして収入を増やす事だ。今日は新月を過ぎた1日目だから、ここにいる獣人家事奴隷は人の姿にしかなれない。だが容姿に関しては人目を引く素晴らしいものだから、収入源としては申し分がないでしょう。


 私から見ても美人であるのはもちろんだが、ほとんど人と変わらない姿に獣耳と獣尻尾があるのが素晴らしい。CGや特撮によって、実写でも獣耳や獣尻尾は普通になりつつあるが、この世界はリアルなのだ。これを放映すれば動画再生回数は跳ね上がること間違いなしでしょう。


「さあ、服を脱いでもらおうか!」

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