第130話 生きるは死・死は生きる

公平が肩を抑え、血を流し、逃げ回っている姿があった。


1人助けてと、呟いていた。


後ろから霊子は、鎌をぶら下げ、慎二の死体を引きずりながら後を追っていた。


里奈は助けたい気持ちがあるが、いざ霊子の姿を見ると、足がすくんで動かない。


里奈は気持ちとは裏腹に、公平が殺されるのを黙って見てるしかなかった。


公平は心臓を刺され、体をピクピクさせまるで、陸に上がった魚のように死んでいった。


霊子は記憶の映像が流れた。


闇と光の球体に吸い込まれると、死別世獄高等学校に来た自分の映像だった。


すると、記憶の場面が変わり、300年前の記憶が流れた。


毎日迫害を受け、体は傷だらけで、吉沢先生にも裏切られた。


当てもなく、人気のない屋上に行った。


そして、太陽が沈み、夜になる頃に学校から帰宅している。


自分には、呪われる覚えがない。


ただ1つ言える事は、私の家族は人を殺した事がある。


悲しみにくれた時代。


時には、人を殺害して、人肉を使った料理などを出していた。


いつしか、世間からは、冷血な家族と見られた。


零子は不思議だった。


こんなに美味しいのに。


動物の肉は、みんな食べるのに、人の肉は食わないなんて変なの。


同級生の味なんて、考えただけで胸が踊る。


私はやっぱり、塩胡椒をかけて食べるのが1番。


みんなは、狂ってる。


人間が1番正しいって、誰が決めたの?。


動物や虫だって、一生懸命生きているよ?。


みんなは、直ぐに殺すくせに、人間殺して食べたら怒るんだもんなぁ。


みんな勝手だよ。


動物や虫も同じ気持ちだよ?。


だから、私は味方をする。


私が人間を捕食する。


世界を歪めた神は見てますか?。


私はここです。


映像が途切れた。


「アハハハハハ…私は良き理解者だ…ならもっともっと、捕食しないとねぇ」


里奈は屋上に逃げた。

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