第119話 生きるは死・死は生きる
明日香は状況が飲み込めず、挙動不審になっていた。
里奈が最初に返事をした。
「正木と友希は殺されたんだ。」
周りは友の死に、傷心し、虚空を探すように、何もない場所を見つめた。
明日香は、皆の態度に違和感を覚えた。
「何で?何でみんなそんな冷静なの?…まさか…みんなも殺してるの?」
里奈はそれでも、冷静に淡々と説明した。
「違うよ…霊子と吉沢先生だけだよ。」
「何で、霊子だけ?」
章に説明をしたように話した。
明日香は取り乱し、顔を隠すように両手で塞ぎ込んだ。
「じゃあ、助からないの?みんな死ぬの?嫌、嫌ぁぁぁぁぁ」
里奈は絶望しながらも、光を示す言葉を話した。
「まだ、助かるかも知れない、ここが今言った通りなら、霊子の呪いを解く方法もあるかも知れない、だから今は頑張ろう。」
里奈は手を差し伸べた。
明日香には助かる可能性はほぼ0と考えていた。
仮に助かる方法があっても、上手く行くとは限らない。
下手したらいや下手しなくても、殺される方の可能性が高い。
でも、里奈は諦めてない。
多分、今でも霊子を友達だと思ってる。
私には、自分が助かるより霊子を助ける。
そう聞こえた。
5人はまだ生きる事を諦めてない。
ただ、少なくともこの5人は前世で霊子を殺した人達。
罪人に救いはあるのか?。
罪は贖えるのか?。
命をかけて知るだろう。
命の重さに。
人も、動物も、虫も、神すらも、命の重さは平等だと。
全てを犠牲に生きる人間は、7つの大罪、傲慢、憤怒、嫉妬、怠惰、強欲、暴食、色欲、があり、これら7つの罪を犯す生物は人間と神であり、故に神と人間は最も醜く美しい生物だ。
果たして、人間の思い描く神はいるのだろうか?
神すらも、世界の歪みから生まれた異物ではないだろうか?
善人や正しく生きる生物を死ぬ現世は、本当の世界なのだろうか?
死死森霊子や吉沢健のような生物を生んだのは、他ならぬ神であろう。
今、この学校に置いて、命の重さを理解しているのは、死死森霊子と吉沢健だけかも知れない。
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