第114話 生きるは死・死は生きる

他の皆も、別の扉を引くも開かない。


窓を殴り、近くにある掃除道具で殴っても傷1つ付かない。


潤が息を切らし言った。


「傷1つ付かないって、おかしくないか?」


皆は、狼狽えた。


里奈が辺りを見渡し言った。


「このままじゃあ、見つかる。早く別の場所に避難しないと」


諦めきれないと言った表情の者もいたが、歯をくいしばり里奈達と共に逃げた。


どの場所に逃げるか、皆と相談しながら逃げた。


すると、体育館前に吉沢先生がいた。


慎二が悲鳴をあげてしまった。


「うわあぁぁぁぁぁぁぁぁあ」


一同は悲鳴と共に離散した。


必死でどこに向かっているかも分からなくなる程、頭は真っ白になった。


皆、散り散りになり、霊子と里奈は一緒に逃げたが、他の人達は散り散りになった。


里奈が霊子に言った。


「あれ!波は?」


霊子は里奈の返事に反応せず、自分達のいる教室の表札に理科室と書かれている事に気づき、教室を見ていた。


里奈は返事のない霊子を見て、目線の先を見る。


驚きを隠せず、霊子に言った。


「こ…ここ…理科室だよ。霊子早く逃げよう。」


霊子の手を引っ張るも、微動だにせず動かない。


里奈の手を振りほどき、理科室に入って行った。


里奈も霊子について行った。


周囲を見渡す2人。


しかし、黒板には血で書かれた真実が記載されていた。


死死森霊子は、死の亡霊であり殺人者。


この悲劇の引き金。


そう書かれていた。


里奈は霊子を見た。


霊子は不敵な笑みを、里奈に向けた。


「霊子?…う…そ…だよ…ね?…霊子は違うよね?…私達、友達だもんね…吉沢先生が書いた…嘘だよね?」


霊子の目はどんどん釣り上がり、細まっていく。


「もう、分かってるでしょ?里奈が今感じている恐怖は、私にしての者…私達友達だから殺さなきゃ。」


里奈は逃げようと戸に手をかけた瞬間、学校中の窓が一気に割れた。


里奈は驚き、そのまま逃げた。


割れたガラスの破片が、霊子の頬に傷をつけ血が垂れた。


「あー血が…血が欲しい。もうバレたなら皆殺しだ。」


霊子は我慢が出来なくなり、ガラスの破片で手首を切り血を啜った。


里奈は走って、隠れそうな場所を探した。


「だ…誰かに合流して、霊子の事言わないと」


里奈は取り敢えず、屋上に向かった。


屋上に着き、勢い良く戸を開けた。


膝をつき、泣いている波と杏子に、身を縮こませ震えている亮と京介。


里奈は、波に駆け寄った。


「何かあったの?」

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