第102話 あの日の始まり

霊子は、春香の方へ振り返り言った。


「ここは今、私達しかいません。見つかればかなりの危険です。」


春香は躊躇いを見せるも、霊子について行く事にした。


「なら、私も行く。」


美雪もすかさず言った。


「私も行く、1人になりたくない。」


霊子は2人に言った。


「なら、もし逸れてしまったら、ここの教室に集まりましょう。」


春香と美雪は頷いた。


霊子達は、取り敢えず自分達の教室に向かった。


霊子の心の内は、この殺し合いに心踊らされていた。


楽しいなぁ。


次は誰が死ぬのかな。


私かな?。


いや、吉沢先生?


それとも、里奈?



ふふふ、もっともっと前が見えなくなるくらいの鮮血が欲しい。


血を欲っし、春香と美雪の方を見た。


春香は何故、自分達を見たのか、不思議そうにしている。


春香達は階段一つ降りる度に、心臓が止まる程の恐怖が、体に浸透しつつあった。


美雪は、青ざめた顔で前にいる霊子に言った。


「霊子、ちょっと待って春香が!」


春香は恐怖により、歩くのが困難になっていた。


周りに迷惑はかけまいと、美雪の手を振りほどき立ち上がった。


「ごめん、大丈夫。」


美雪は春香の顔を覗き込んだ。


「顔真っ青じゃん。」


春香は美雪も自分とあまり変わらない事を告げた。


「美雪も顔、真っ青だよ。」


美雪は反射的に顔に手を当てた。


ちらっと、霊子を見て言った。


「霊子は怖くないの?」


霊子は鼻で微かに笑った。


「怖いよ。」


そう、私は怖い。


私以外に、貴方達が他に殺されるのが。


私が殺さないと。


私に失礼だわ。


美雪は安堵した。


「だよね。霊子は綺麗で大人っぽいから、時たま、私達より遠く感じる、私達にも頼ってね!里奈達がいても」


「はい。」


私は知っている、この誘うような甘い言葉。


勝てない相手に油断させる、この言葉を私は知っている。


再び歩き出し、自分達の教室に着くも誰もいない。


「みんなは、何処に逃げたんでしょうか?」


春香は床をじっと見つめていた。


「あ!体育館?…はないよね…拓己と小平の…死体があるから」


美雪は上げていた顔が、沈むように俯いた。


「吉沢先生の姿も見当たりませんね。」


春香は意見を出した。


「よくよく考えたら、私達があの写真を見たのは、吉沢先生も知らなくない?」


美雪は顔を上げた。


「確かに、なら普通にしていれば大丈夫…かな?」


霊子は高圧的に言葉を放った。


「あんな、気味の悪い写真を持つ先生でも?」



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