第101話 あの日の始まり

「で、結局霊子のあの名前は何?」


「神守零子の事か?…あれは霊子の前世の名前だ。」


正木は意味のわからない言葉を言った。


「前世?」


吉沢先生は呆れはて、小馬鹿にした顔で見下している。


「馬鹿に簡潔に説明すると、200年前の霊子の名前だ。


通訳すると、人は輪廻に帰り、転生を繰り返す。


そうすると、生まれ変わる事が出来る。


私は輪廻などに帰らず、霊子といたくて儀式を行った。


だが、他ならぬ霊子に打ち砕かれた。」


正木が質問を続けた。


「じゃあ、死死森霊子って不気味な名前は?」


「それは私にも分からん、じゃあ、質問終わり、何でお前達にこんな話をしたか分かるか?お前らクラス全員、俺の机の写真を見ただろう?…見たらどうなるかの見せしめに、お前らを殺して教室に貼り付ける為さ」


正木は吉沢先生に掴みかかった。


「友希逃げろぉ、みんなに知らせろ。」


一瞬、キョトンとしていた友希。


「正木を・・・見捨てれない。」


正木に加勢し、友希も掴みかかった。


しかし、横にいた正木はバタンと倒れた。


友希は正木に目が行き、はっと気づき振り向いた時には、目にナイフで切りつけられていた。


「あぁぁぁぁぁぁ」


吉沢先生は、苦しむ友希の姿を、声も出さず表情だけが笑っている。


友希の左胸の心臓に、奥深く刺した。


友希は数秒間、陸に上がった魚のように体をパタパタさせ、次第に心臓の鼓動と共に動かなくなった。


正木の方に視線をずらすものの、既に死んでいた。


吉沢先生は1人、ぶつぶつ言っている。


「さて、素材も揃ったし作りますか。」


そう言って、正木の死体を掴み右手にはナイフが握られていた。


ナイフ刃先を左右に振るい、正木の肌を削っていく。


顔、胴体、手、足をしっかり削り取っていく。


正木と友希の肌は、血だらけで肉が浮き出ていた。


死体の血をしっかり拭き取り、乾かしていた。


吉沢先生に再び笑顔が戻った。


「良し、人体模型の完成だ。


あぁ~、友希の方目を切っちゃったから変な人体模型になっちゃったなぁ。


まぁいっか、後はクラスの奴が帰ったら教室に置いておこう。」


午後7時00分。


今から45分程前。


クラスの人達は、皆それぞれ違う場所に隠れていた。


霊子と春香と美雪は3階の開かずの間の前の教室に隠れていた。


「私見て来ます。」


春香は霊子を呼びかけた。


「危険だよ!あんまり動かない方が良いよ。」


美雪も春香と同じ意見で便乗して言った。


「霊子危険だよ!あんな写真持ってた奴がうろついてるんだよ?」

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