第97話 あの日の始まり

「悪い悪い…でも、みんないれば安全だろ?」


「まぁ、そうだけど」


クラスメート全員で、職員室に向かった。


正木が誘導し、机の上に懐中電灯を当て、写真をみんなに見せるようにした。


京介は、我が先と言う感じで、周りを退かし、写真を手に取り見た。


「何だよ!これ…こんな写真撮ってねぇぞ!」


唖然とした感じで、見ていた。


周りの人が、京介から写真を取っても、唖然としたままだった。


「何、何なのこれ!何でこんな写真があるの?」


春香は、肩をガタガタと震わせていた。


美雪は恐怖に怯えた、春香を励ますように支えていた。


章や潤、慎二、秀は驚きはするものの、あまり恐怖を感じていなかった。


何故なら、彼らはこんな写真より、殺人の方に頭が逝っているからだ。


亮、真、公平、鉄也、唯、杏子、明日香、柚木は春香と同じく怯え震えていた。


カツンカツン。


人の歩く音が響く。


正木は皆に、即座に言った。


「この足音、吉沢先生じゃないか?」


里奈も耳を澄まして聞いていた。


「みんな、先生が来た。やはく逃げて!」


恐怖の中、散らばって逃げて行く。


正木と友希は、物陰に隠れ誰が来たか確認している。


カツンカツン。


足音が近くなっていく。


ギイィィィィィィ。


扉の開いた音が、長い廊下に響いた。


正木は物陰から、片目を出し、様子を伺って見ると吉沢先生の姿があった。


後ろにいた友希が、ボソッと小声で正木に言った。


「誰だ?」


正木は後ろを振り返り、友希に言った。


「吉沢先生だ。どこに行く気だ?」


「後、つけてみよーぜ!」


正木は迷っていた。


「俺達2人で?」


にっこりと笑い友希は答えた。


「おう。ほら、京介も言ってたろ?あんなの返り討ちにしてやるって、俺と正木の2人なら大丈夫じゃね?」


「確かに一理あるけど、相手は殺人犯かも知れないんだぞ!分かってるのか?」


友希は希望に溢れた笑顔で言った。


「ここで証拠を掴んで、先生とっ捕まえたら、霊子も安心するし、疑われたりしないでしょ?」


友希の笑顔に疑う気持ちで問い出した。


「お前、楽しんでないか?」


「だって、これ捕まえたらみんな俺らを絶賛するぞ!」


正木は渋々、返事を出した。


「分かった。もし危険だと思ったら引き返すからな!」


正木の不安を、微塵も気づかない友希。


「了解。」


職員室を出て直ぐ、左の曲がり道に行った。


そこは、普段は使われていない道。

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