第73話 復讐の冷血

知りたい。


全ての真実。


雨が降り続く中、校内に入らず雨に打たれた。


心を決める為。


絶望を、塗り替える為。


既に血塗られた私の手。


もう、後戻りは出来ない。


ならせめて、この血塗られた真実を知ろう。


まずは、関わりの少ない人から行こう。


霊子は決意を固め、校内に入って行った。


悲しみにくれた自分を、解放するために。


学校に入ると、ざわざわした声が玄関迄、聞こえた。


声がする方へ急いで行くと、自分のクラスだった。


教室に入ると里奈が体をがっしり掴み言った。


「霊子、無事だったんだね?」


里奈の顔は少し泣いていた。


顔を覗き込むようにして聞いた。


「何か、あったんですか?」


里奈は顔をあげ、掴んでいた両手に力を入れ言った。


「昨日ね、京子と人見と夏希がいなくなったんだって、それでね、瑠璃が言うには死んだかも知れないって・・・」


霊子は状況を確認する為に問いただした。


「何で死んだかも知れないんですか?」


里奈は俯き間を置いて、開いた口は重そうに苦しそうに言った。


「学校内で、おおよそ人が死んだと思われる、血液量が見つかったんだって」


霊子は両手を口元に当てた。


「何で、見つかったんですか?」


「瑠璃が見つけたの、昨日みんなの作業を確認するために、校内を回った時に・・・」


理枝を突き飛ばした時、次の日に事件現場には、血の痕跡が少しもなかった。


だが、今回は血があった。


もし犯人が自分なら、見つかるかも知れない。


いや、確認すら必要ない。


クラスメートが1人死ぬ度、記憶が戻っている。


私は今この瞬間、理解した。


私が殺される事もあるんだと。


なら私が先に、皆殺ししてしまえばいい。


私は今まで通りにしていればいい。


記憶の中では、クラスの人からいじめられていた。


なら私は私の記憶に従い殺す。


「犯人は誰ですか?」


里奈は沈黙したまま。


瑠璃が霊子の元へ来て代わりに答えた。


「犯人は、校内の誰かかも知れない。」


霊子は素朴な疑問を聞いた。


「吉沢先生は、何て言ってるんですか?」


「学校に来てないって事だけ」


霊子は俯いた。


瑠璃は続けて言った。


「私は犯人吉沢先生だと思う。」


良い流れだ。


このまま吉沢先生が犯人になれば、殺しやすい。


「あの写真があるからですか?」


瑠璃は頷いた。


「どう考えても、あの写真は説明がつかないよ!」

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