第70話 復讐の冷血

顔に血が散乱し、口の周りを味わうように舐め回す霊子。


「あ~あ、もう死んじゃった。ふふ、綺麗な赤い色…もっと欲しい。もっと、もっと、もっと血の海になるまで!」


微笑んでいた顔は、次第に苦しみにもがいた顔に変貌し、心を埋めるように血を欲っした。


霊子の悲鳴のような声は、館内に鳴り響いた。


死体を持ち上げ、鉄格子を跨いで下まで、面倒くさそうに投げ落とした。


投げる時に、鉄格子についた血を虚しそうに見ていた霊子は、死体のある下まで降りた。


投げ飛ばした死体は、背中向きに倒れていた。


足で押し込むように、死体を裏返し、顔を見えるようにした。


入口の方から、人の足音が体育館に迄響く。


霊子は慌てる素ぶりも無く、入口をじっと静かに見ていた。


入って来たのは片手にナイフを持ち、全身血を浴びた人見だった。


霊子は、その姿を見ても驚きもしない。


逆に人見は血を浴びた霊子見て、歓喜に震えながら近づいて来た。


「やはり、理枝や彩を殺したのは霊子様だったんですね!」


返答はせず、笑顔で返す。


「あ、私ですか?私は京子を殺しました 。霊子様の事を口にしていたので許せず、このナイフで」


血塗られたナイフを自慢げに見せた。


「ふふ、綺麗な血、遺体は?」


人見の持っていたナイフを手に取り、新しい玩具を買って貰った子供のように、大事そうに見つめる霊子。


霊子の笑顔に、口元が緩む人見。


体育館の入口の方に指を指して言った。


「あちらのトイレに遺体はあり………」


人見の耳元で囁き、首元にナイフを横に振る打った。


「京子は私の獲物………あなたは…死んで」


盛大に血が吹き出す。


右の首元を抑え、霊子の方へ振り向き言った。


「どうし…て?霊子…様、私はあなたの為に」


人見の縋るような悲しい声に、非常にも断罪する一言を放つ。


「もう少し、欲しかったけど…ワ…タシノ…エモノ…を取る者は死んで、アハハハ」


雄叫びのような笑い声が、人見を嘲笑うようだった。


次第に怒りを込み上げ、魔物のような奇声と共に襲いかかる。


「レイコオォォォォォ、私を裏切ったのか?ならせめてその顔を寄越セェェェェェ」


迫る人見に動じる事も無く、ナイフを振り下ろした。


切りつけられた人見は、俯きに倒れ、血がどんどん広がり、手が血に染まっていく。











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