第77話 光を求めて①

肉が消え、売れ残ったのは、この白い骨だけーーー




ここは、誰にも見つからない場所。


私は、海底を歩いていた。見上げると細い光が何本もユラユラ揺れていて。白昼夢のよう。


歩いていると、砂に半分埋もれた茶瓶を見つけた。私は無意識にその瓶の蓋を開ける。と同時、中から小さな黒い虫が飛び出した。


「ねぇ、ねぇ、ねぇ」


「どうしたの?」


私の後をついてくる黒い虫。


「ねぇ、ねぇ、ねぇ……。遊ぼう」


「遊ぶ…の?」


「うん。遊びたい。何しようか。何が良い?」


私は、目を閉じて考えるフリをした。


「かくれんぼは?」


「……………」


「嫌?」


「イヤじゃないよ。じゃあ、僕が鬼ね」


「分かった」




私は、黒い虫が数を叫んでいるうちになるべく遠くまで逃げた。



…………………。

……………。

…………。




「もういいかい?」


返事がない。


「もういいかーーーーい?」


やっぱり、返事がない。



僕は、急いであの人の姿を探した。でも結局、見つからなかった。




あったのは、海草に絡まった頭蓋骨だけ。




どこにいるの?


どこに逃げたの?


早く出てきて、姿を見せて。


ねぇ、ねぇ、ねぇ。


ねぇ、ねぇ………。


ねぇ……………。




…………ママ


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