ゾンビルール③

誰も近付かない、校舎裏。


僕は、腐臭を発する草の上で必死に激痛に耐えていた。


顔に傷がつくとまずいからと、腹を集中的に殴られた。僕をサンドバッグにして、ストレス発散した奴等が、笑いながら転がっている僕に唾を吐いた。



「お前さぁ、こんなに殴られて悔しくないの?」


悔しいに決まっている。




学校からの帰り、久しぶりに幼馴染のナツに会った。


「あっ、サトルじゃん。………何かあった? いつも以上に暗いけど 」


「別に。そっちこそ、どうしたの?」


ナツの右頬が、赤く腫れている。


「彼氏に殴られた」


「ふ~ん。彼氏って、あのサッカー部の奴?」




その夜、僕はサッカー部の部室に火をつけた。その現場を職員に目撃され、いつの間にか、気付いたら僕は学校を辞めさせられていた。



「バカっ!! なんで、あんなことしたんだよ」


ナツは僕の胸ぐらをつかみ、本気で怒っていた。


「別に」


「………別にって、なんだよ。はぁ~。相変わらず、何て言うかさ」


これで、最後。


もう二度とナツと会うことはないかもしれない。そう思った。僕は、取り返しのつかないことをしてしまったから。



「アイツとは、別れたから。だから、もう大丈夫だから。わたし」



「ふ~ん」



【 ゾンビ病が流行る、5ヶ月前の話 】

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