もうひとつのメルヘン

       秋の夜は はるか彼方に、

       水精ニンフの流した涙が湖になって

       それに空の青が

       少しばかり映っているのでありました。


       優しい色の風が歌っては、

       水精ニンフを慰めたりもしましたけれど、

       湖は深くなるばかりで、空の青も

       一層深くなるのでありました。


       さて風の上に、一人の少年が立ち、

       にっこり笑うと

       水精ニンフを見つめているのでありました。


       やがてその少年がいなくなると、

       今まで影すらも見えなかった、虹の都が

       湖に光を落としているのでありました。


               『ひとつのメルヘン』によせて


――――――――――――――――――――――――――――――――――――


高校の現国の教科書に、中原中也の『ひとつのメルヘン』が載っていた。

ある日の授業で感想文を書くよう言われ、私が提出したのが、この作品。

だがしかし――


コレは、どうみても、感想文では……ない(滝汗)。


トンデモナイ生徒であった。留年はしなかった。先生、ありがとう。


平成以降の高校の教科書には、どんな詩が載ってるのだろう。

やはり、宮沢賢治だろうか。

それとも、茨木のり子だろうか。

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