翔と私

小波ここな

第1話 カラスの山


 おばあちゃん。カラスがないちょる。


 あれは山の守り神だからこわない。


 おじいちゃん。墓場にカラスがいるよ。


 あれは墓場を守っとるだけや。こわない。


 目を覚ましたら既に遅刻な時間。

 会社に行き今日も怒鳴られました。

 

「山田さん。今日の夜あいてる?」


 竜見さんに今日も誘われたけど、あんましお酒は飲めないからパスでお断り。

 

 休憩時間。会社の屋上でぼんやりしてた。

 スマホでも見るかな。


「おい。小娘」


 えっ?

 一羽のカラスが私の側にいる。


「小娘。お前の大事な物が消えかけている。山に帰れ」


 カラスが確かに声を出した。

 なんなの?

 誰かのイタズラ?


「伝えた。さらばだ」


 カラスは空の彼方に飛び去った。


 あ!

 そういえばむかーしにこんなことがあったような。

 小さい頃に翔くんと、、

 あれ?

 翔くんてどんな子だったっけ?

 黒くて、、、

 あ!

 わかった!思い出した!


「おい。山田!どこに行くんだ!

帰る?

何バカな事をいってるんだ。

勤務中だぞ!」


 電車に飛び乗ったとき、全てが戻ってきた気がした。

 故郷に近づくごとに思い出が鮮明になってゆく。

 

 駅につくとカラスが何人かいた。


「おぉ? みゆだな? えらくでかくなったな」


「ほんとだ。みゆだ。」


 カラスに声をかけてみたけど返事がない。

 あれ?

 

「おまえ。カラスの言葉を忘れたな?

カラスの言葉は


心をこめて?


そうだよ!みゆ。少し思い出したな!


「みゆ。都会の空気も妖怪もここにはおらん。もっと息を吸ってみろ


スーッ はあ スーッ はあ


そうだ。腹から出せ


「ただいま!みんな!!!


声が大きすぎだ。まあ、声が戻って良かった。


みゆ、お帰り


お帰り、みゆ


「ねえ、翔を知らない?


ああ、あいつな。もうすぐいなくなる。


「翔に会うため帰ってきたの!


おまえ。ばーさんが翔に会うなと言ってたろ?

じーさまもな。


 記憶が還ってきた。

 山での怪異の記憶が


「においでわかる。みゆにまた怪異が付きまとい始めたな。


「わたし、翔に会う!


じーさまに止められてるから、俺たちは連れていけない。

自分で探せ。


怪異も近づかなければお前に手を出せないからな。


「でも、わたし都会のカラスにつれてきてもらったのよ?


 カラスが顔を見合わせた。

 何を隠してるの?


「山には、夜、入るなよ。みゆ。


 そうだ。山のお堂に翔がいたことを思い出した。お堂で昔何かを見たなぁ、、、


 カラスたちは飛び去った。


「おや? みゆ? 大きくなったなぁ


 じいちゃん? あれ、いない。

 確かにじいちゃんがいた気がした。

 

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