第82話 二人きりの温泉?
私たちはとうとう温泉旅館に到着した。
宿の女将も丁寧に迎えてくれた。
この温泉旅館は周りが綺麗な渓谷に囲まれている。でも今は冬から春に差し掛かり雪解けが丁度いい感じだ。
部屋に通されるとまたやたら広く、部屋にはやはり風呂がついていたよ!
しかもガラス張りで外の景色もバッチリ見えるよ!
ここに二人で…。
と思うと一気に赤くなるけどもっと驚いたのが
寝室をこっそり覗くと布団が一つですけどおおおおお!!
もうダメだ!!死ぬ!この旅行で死ぬ!!
「ちょっと外を散歩しようか!」
と焦る吉城くん。
「うん…」
私は素直にそのまま女社長と部下のまま外に出て歩くことにした。
寒いけどやはり綺麗な渓谷だな。
落ち着く。
「時奈さん…あの…ごめん…。いろいろ。ゆっくりしてもらおうと思っていたのに…。それに嫌なら触らないからね?」
「…吉城くん…そんな…こんなとこまで連れてきてもらったのに…私あげれるものないしっ…」
「いや君の誕生日だからね?そうだこれ…」
と彼は長細い箱を取り出し渡した。
開けてみると。小さな青い薔薇の可愛いネックレスが入っていた!
「ありがとう!!嬉しい!!」
これいくらするんだろう…。ヤバイ無くしたらヤバイ!が頭に入ってきたけど、やっぱり嬉しいものは嬉しい。
「それなら服の下にも身につけてられるし…指輪はまだ結婚する時用に取っておきたいし…」
「うっ、結婚とか…私…親衛隊の人に睨まれてるのに余計に炎上しそうだよね…ごめんほんと美人じゃなくて…」
「時奈さんは世界中の誰よりも1番可愛いよ!美人なんて興味ないよ…」
と指にキスして彼は微笑む。
くっ!カッコいい!!
宿に戻ると昼食が用意されていた。
豪華だ!相変わらず!!
土瓶蒸しに鯛飯にもちろんお肉もあった!
変装を解いて浴衣に着替えた。
浴衣の吉城くんもカッコいい!和風も似合う!
「美味しい!!お肉やっぱり美味しい!」
「ふふ、慌てると詰まるよ!ゆっくりね?」
とお茶を渡してくれる。
彼も自分でお茶を注ぎ飲む。
「幸せだね…早く結婚したいなぁ…僕は何故年上じゃないんだろう?」
「それは仕方ないよ…」
と笑い、食事が終わるとついに風呂の問題に直面して急に心拍数が上がる。
「時奈さんは先に入っていていいよ?恥ずかしいならタオルを巻いて後ろ向いてていいよ、何もしないし」
うっ!優しい!!
「わ、判った!先に入ってるね!!」
私は口をパクパクさせババっと風呂へ向かい着替えてタオルで身体を巻いて湯船に浸かって待った。
ああ、景色綺麗!星見える!
すると少しして物音がした。
ひっ!きききき来たあああ!
ドキドキが口からはみ出そう!
するといきなりガッと私は自由を奪われた。
まさかのいるはずも無い女に!
「貴方…さ、西園寺さ…」
苦しい!後ろから首を絞められてる!殺す気?あ、殺す気か!!
浴衣姿の西園寺さんは女性従業員になりすましている!
「ふふふ!残念ね雪見時奈!折角愛しの王子様とラブラブ温泉タイム♡なんて思ったら大違いよっ!ここで死ねええええ」
くっ!こんなところで死ねない!!私は暴れてバシャバシャお湯を西園寺さんにかける。
彼女も負けじと私の頭を押さえて湯船に何度かつける!必死で抵抗する私!
「大人しくしなさいよっ!吉城様は今頃真理亜様と結ばれる頃よ!邪魔するんじゃないわよ!」
え?
何それ!!真理亜も来てるの??
そして結ばれるだと?
彼に何を!
はっ!さっきのお茶??
あれに何か入れて吉城くんが動けない隙をついて!!?
ヤバイ!吉城くんが危ない!!
「くっ!」
パシャリと私は西園寺さんの目を目掛けてお湯をかけた!
「あっ熱い!!」
怯んだ隙に私は桶を掴んで思い切り西園寺さんの頭を殴ってしまった!
パカン!!
「うがっ!…」
バタリと西園寺さんが気絶した。
温泉殺人事件ーーー!!!
いや、死んでないか。脈あるし。
とにかく吉城くんだ!
私は急いで浴衣を着込んで寝室に走る!
ガラリと戸を開くと衝撃の光景を見てしまった。
吉城くんが動けないのかダラリと下になっている。上に乗っかる従業員の格好をした真理亜が吉城くんの唇を奪っていた!
彼女は唇を離し私に悪魔みたいな笑顔で
「ふふふ、雪見時奈!遅かったわね!彼はもう私のものよ!ちなみにセルフで今のを撮影していたのよ!」
と側にあったスマホで自撮り棒でキス現場写真を押さえた彼女は不適に笑った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます