第30話

 私も法律を考えるのは苦手です。

 王国法もガルシア公爵領の法も、完全に明文化されている訳ではありません。

 国王や貴族に都合よく解釈できるようにしてあるのです。

 ですからその時の権力者によって大きく解釈が変わります。

 まあ、その御陰で、人情味のある裁きも可能なのですが、大体は権力者が有利になり、民が泣かされる結果になります。


 城下にいる村長や商人を集めました。

 集めるとは言っても、城に入れる訳ではありません。

 城下に謁見用の場所を設けるのです。

 私に危険が及ばないように、絶対の護り魔法をルークがかけてくれています。

 それに半人間を護衛に付けてくれました。

 半人間は番犬と同じ扱いなのかもしれません。


 ルークは半人間を可愛がっています。

 私とルークの私的空間である城内は、ルークのお気に入りしか入れません。

 私は当然ですが、ルークが助けてきた半人間もお気に入りに含まれています。

 差別的な表現になりますが、ルークが半人間は助けるのは、私が可哀想な犬や猫を拾ってきて飼うのと同じ感覚なのでしょう。

 だから番犬のように調教しているようです。


「最初に言っておきますが、大魔境はトーレス王国から独立しました。

 今はルーク王が支配するオリビア王国となっています。

 トーレス王国の民が勝手に大魔境に入る事は許されません。

 まして大魔境の獣を狩り、草木を持ち出すなど、絶対に許されません。

 大罪として処分されます。

 先に入った者達は、ルーク王直々の処罰を受けてでんでん虫となり、未来永劫身体を喰われ続け、苦痛に苛まれる罰を受けました」


「「「「「おおおおおお」」」」」


 集まった者達がどよめいています。

 顔色が真っ青になってる者がいます。

 高熱に犯されているように、全身が小刻みに震えている者もいます

 恐怖に自分で自分の身体を抱いている者もいます。

 失禁脱糞している者もいるのでしょう。

 村長の中には股間の周りを色濃くしている者がいます。


 それに、彼らから見れば、私を護る半人間達はとても恐ろしい姿でしょう

 猫の半人間や犬の半人間は、私には可愛く見えますが、彼らから見れば魔獣や魔人にしか見えないでしょう。

 まして猪の半人間や象の半人間は、恐怖以外の何者でもないでしょう。

 本当は同族から虐められるような弱い個体ですが、そんな事は彼らには分からないのです。


「さて、今後の事ですが、どうしても大魔境に入りたい者は、城下に来て誓約の魔法を受けてもらいます。

 それは狩りや採集の許可になりますが、同時に税を納める義務が課せられます。

 破れば即座にでんでん虫に変化させられます。

 それでいいのなら、明日から日暮れにここに集まってください」

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