第24話

 私の言葉通り、ルークは沢山のモノを連れてきました。

 色々な動物と人間の中間の子達です。

 猫と人間の間の子。

 最初に連れてき犬と人間の間の子よりは尻尾が細く長いです。

 尻尾だけではなく、細部が色々と違います。


 狐と人間の間の子。

 狸と人間の間の子。

 鼠と人間の間の子などなど。

 本当に色んな子がいます。

 大魔境とは、人間が考えている以上に不思議な場所です。


「わたし、るーく、つかえる」

「ぼく、るーく、てつだう」

「おで、るーく、すき」

「おら、るーく、すき」


 ルークは半人間達を可愛がりました。

 ケガをしているモノ、障害のあるモノ、欠損のあるモノを、魔法で癒すのです。

 飢える事がないように、毎日魔境で新鮮な魔獣を狩って帰ります。

 もちろん私を同行させます。

 例え城であろうと、私を一人で残そうとはしません。


「お姉ちゃんと僕は大魔境に行くから、留守番しててね」


「「「「「はい」」」」」



 半人間達はルークを慕っています。

 食事を与えているからなのか、助けてもらった恩義なのか、細々とした城の雑用を全部してくれるようになりました。


 ルークや私に人間の家臣や従者がいたら、半人間を助けなかったかもしれません。

 普通の人間が半人間を受け入れられるとは思えないからです。

 ですが幸か不幸か、私達について来てくれる人間はいませんでした。

 いえ、真剣に探せばいたかもしれません。

 ですがルークは私と二人で暮らしたかったのでしょう。


 そんなルークが半人間を助けて城に連れて来たのは、昔の虐められていた自分と、半人間の村で虐められる子達を重ね合わせたからかもしれません。

 それと、半人間が人間らしくなかったのも大きかったのかもしれません。

 基本人間不信のルークから見れば、明らかに獣顔の半人間の方が心許せるのでしょう。


 そうそう、城は私達が引き継いだ時から一変しています。

 基本的な縄張りは以前と変わりないのですが、空堀が底が見えないくらい深くなり、城壁が倍以上の百メートルの高さとなっています。

 どのような大軍が攻め寄せても、ビクともしない頑強な城と成りました。

 城を護るべき兵も、半人間が務めてくれます。


 この城は建前上は私の城です。

 大魔境を見張る城伯の城だったからです。

 ルークが新しく城を築城するのなら、大魔境の中に築かないといけません。

 ですがルークと私の間で、そんな建前は必要ありません。

 それに、ルークが私と別々に暮らすのを認める訳がないのです。


 ルークと私が色々やっている間に、王都ではとんでもない事が起こっていました。

 

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