【40】中洲と屋台と告白と(終)
初めてみたラーメン以外の様々な飲食物を
提供する屋台の数々。入った店の料理は
美味しかったしビールは言うまでもない。
そんなことより、もう一杯おねだりしようかと思っていたところで飛んできた、はるさんからの先制パンチ。話って何なんだ…。
今まで感じていた体内のアルコールによる
ほろ酔い気分が一気に福岡の明るい夜空へと飛んでいってしまった。
コンビニで安い缶ビールとつまみ、彼女が
欲しがったスイーツを買いホテルへと帰還。
いつもはお喋りが止まらない俺だがさすがに
何を話していいのかもわからない。
「いや~、屋台ってラーメンだけかと思ってたけど女子でも入りやすそうな店とか色々あるんだね~?わたくし衝撃でしたわ。」
とりあえず当たり障りのない話をして彼女の出方を伺う。まさか、昨日の酔った姿見て
"あなたとはやっていけません…"
なんて思ったのではないよね…?
『私もさ、屋台はくたびれた感じのおじさんがやっているラーメン屋ってイメージあったから、時代の流れに驚きましたよね。もっと色々回りたかったけどごめんね?』
くるのか、いよいよ彼女の話の確信が…。
もう耐えられない!!
「で、はるさんお話とは何ですか?俺
ドキドキして心臓が爆発しそうです…。」
『あ、そうだね。実はね…』
下を向いて言葉を考えている様子の彼女。
そのもじもじしている姿も可愛いんだけどさ?…続きを早く!(笑)
『実は、来月から関東に戻ることになりました!出張は今月で終わり。で、ね…?』
「え?え?本当なの~!!!何それ~!
何でもっと早く言ってくれないのよ~!
俺、昨日の失態が酷すぎて別れを切り出されるのかと思ってドキドキしてましたよ…。」
何とも嬉しい報告に、一気にテンションが
上がった俺は部屋の中をスキップで一周すると彼女に飛びつき、力いっぱい抱きしめた。
『稜さん苦しいよ?(笑)本当はさ、昨日の夜に話そうと思ってたんだけど、誰かホテル着いた瞬間にベッドへダイブしてそのまま寝てましたよね?まぁ過ぎたことはどうでもいいんだけどね。それより、まだ続きがあるので
少し離れて聞いてくれます?(笑)とても
話しづらいんですけど!!』
大好きな彼女との遠距離恋愛が終わる!!
これからはいつでも会いたい時に会えるんだ!こんな幸せなニュースを聞いて彼女から
離れられるわけがない。
「だってさ~、嬉しいんだもん…。あれ?
何故かわたくし、涙が出てきました…!
だから、はるさんは俺の膝の上に座って
そのまま続き話してくれる?」
『だからの使い方間違ってるし、
余計喋りにくいよ!!』
彼女に手を引かれ、ベッドの上に
正座をさせられる俺。
「改めまして。稜さん。
ご相談があるんですけど…」
『何?何でも言いなさい!!』
「来月から、稜さんの家に住まわせてもらってもいいですか?稜さんイヤなら会社の寮に戻るから気にしなくて大丈夫だよ?」
何と!!彼女から同棲の提案とは!!
今日は大安吉日のお正月か何かなのか??
同棲ということは…
朝起きたら隣に彼女が居て、家に帰ると
彼女がいる。寝る時に横を見ても彼女!!
ヤバい…わたくし、失神しそうです。
『稜さん?凄いニヤニヤしながら色んな表情浮かべてて怖いんですけど…。』
「え?あ、ゴメン何か色んなこと想像しすぎて妄想の世界に旅立ってました…!
はるさん?俺の家に来てくれるんですか?多分わたくし朝起きた瞬間から喋り続けてますけどそれでも耐えられますか?(笑)」
『耐えられなくなったら寮へと移動します!とりあえずさ、稜さんが本気で私と結婚したいと思ってくれているのなら、一緒に住んで試してみるのもありかな?と思ったの。
これで断られたら、やっぱり今までしてきた求婚まがいのことはネタだったんだな?と思うしさ~。断られたらどうしようかと思ったけど、同棲するってことでいいですか?』
「断るわけないじゃん!!俺も、はるさんの出張が終わって関東に帰ってくる時がきたら一緒に住みたいな?と思ってたんだよ?まさか、こんなに早く実現すると思わなかったけどさ!!こんな俺ですけどよろしくお願いします!!」
彼女に向かって頭を下げる。
『ありがとう稜さん!!こちらこそ
よろしくお願いしますね!!』
ラブホのベッドの上でお互いに頭を下げて
いるカップルがこの日本にどれくらいいるだろうか?きっと俺とはるさんだけだな。
福岡最高!!またくるけんね~♪
窓を開けて叫びたい気分だったが
厳重に鍵がかかっていた。
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