本編スタート【千葉県】

【プロローグ】遠距離恋愛の日常

私)

"稜さんおはよー!今朝のそちらの天気を

お天気お姉さん風に教えてください。"


彼)

"おはよー、はるさん。え、何そのお題?


今朝の関東の天気は晴れ。

現在の気温は二十度くらいと少し肌寒く

感じますが初夏を感じさせる

爽やかな空が広がっております!"


私)

"んーありきたりだな。30点。"


彼)

"えーーー!結構いいできじゃん!

じゃあ、はるさんもやってみてよ!!"


私)

"あ、出勤の時間だわ。またね♪"


彼)

"もーー!!今日も愛してるよ♪"


起きてからスマホでくだらない

メッセージのやり取りを続ける二人。

私の長期出張により、遠距離恋愛に

なってからというもの朝のおはようから

夜のおやすみまで、半年以上毎日欠かす

ことのない日課となっている。


本日の仕事が終わり、休憩時間に見つけた

ネットニュースのスクリーンショットを

まだ残業しているであろう彼に送りつける。

日本の航空会社が初めて購入した世界最大のエアバス機が日本に到着したというニュースだ。


どれだけ大きいのだろう?

どんなエンジン音がするのだろう?

しかも海亀のペイントがされているという。

何故海亀にしたのか?

飛行機が大好きな私は、想像しただけで

ワクワクする気持ちを押さえきれず


"稜、一般就航始まったら写真撮ってきて!"


再度、スクリーンショットと共に

命令文を送信する。


彼はきっと、何だかんだと嫌がるそぶりを

みせながらも、"しょうがないな~!!"

と言ってくれるだろう。

彼は私にとても甘い。



※※※


仕事が終わり、スマホを確認すると

関西に住む彼女から、いつものように

仕事終わりの報告とスクリーンショット

付きのメッセージが届いていた。


開いてみると、成田空港に海亀ペイントの

エアバス機が到着したという報告だった。

俺の彼女は飛行機が大好きだ。

俺も飛行機を眺めているのは嫌いではない。

乗るのは正直怖いのだが年下の彼女に

そんなことは口が裂けてもいえない。

バカにされるのがオチだ。


"まじか!見たいねー!"

と返事を返そうとしているところに

また彼女からメッセージが届く。


"稜、一般就航始まったら写真撮ってきて!"


ん?命令されてる?

いつものようにさらりと言う彼女。

ワガママな彼女?いや、違う。

自分の気持ちに正直なだけだ。

彼女のそんなところを好きになった。


本当は彼女にお願いされて

凄く嬉しい俺だが年下の彼女に

素直に従うというのも少し癪に触る。


"しょうがないな~?

近くに用事があったらね?"


と、ついでだから行くんだという

少し上から目線で返事を返す。

本当はそんなところに用事などないのだが。

彼女が見たくて仕方がない、空飛ぶ海亀を

少し足を伸ばせば見れるというのに

断る理由のほうが見当たらない。


"えっ?何で行かなきゃならないの?"


そんなつまらない答えは

俺の中には存在しないのだ。

さて、いつ行こうかな?

初離陸は夜みたいだし、就航日は

定時で仕事が終わるように調整しておこう。



これは

27歳、一回り年下、あまり感情を

表に出さない、結婚願望ゼロのはるさん。


39歳、年下彼女が可愛すぎて仕方のない

アラフォー突入目前に結婚を焦っている

稜さん。


二人の全国津々浦々を巡る旅日記である。

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