第419話 高宮君の怖い話~向こう側の彼女 中編~
『おはよう○○君。今日も朝から一緒だね!』
“理想の彼女”は現実と時間がリンクしているゲームでした。
こっちが朝ならゲームの中も朝という感じで。
「おはようミキ。」
僕は早起きをして毎朝理想の彼女である“ミキ”に挨拶をして軽く会話をする。
そして学校に持っていき、休み時間の度にトイレや裏庭で談笑し、家に帰って夕ご飯まで会話をする。風呂に入って全部終わると即座に布団に入ってミキと眠くなるまで会話する。そんな毎日の繰り返し。
学校で友達作りもせず、毎日ミキと会話をして、休みの日にはデートもした。
そんな楽しい日々も、高校に入る頃には終わりを迎えた。
高校には行ってすぐに友達にも恵まれ、彼女も出来たのです。
それはミキとの会話で培ったコミュニケーション能力のおかげだと思います。
だから高校生活は充実したものになる。そう思いました。
「じゃあね○○君。今度の土曜日はデートだからね!ちゃんと迎えに来てよ?」
「もちろんだよ。お昼ごろに行くからね。」
「うん!待ってるね!」
彼女を家まで送った帰り道、何気なく公園を通って帰った時です。
「ママ~!」
「ミキ~!!。」
そんな親子の会話を偶々聞いたのです。
そしてふと思い出したのです。
「そういえばあのゲーム、ミキのおかげで今があるのかなぁ。」
だからだったと思います。僕は久々に“理想の彼女”を起動し、ミキに会おうと思ったのです。
家に帰ってすぐに押し入れからゲーム機を取り出し、起動しようとカセットの入ってるケースを開けた時です。
「え!?」
ピンクの背景に白色の文字で“理想の彼女”と書かれていたはずのカセットが、その時には黒い背景に赤文字で書かれていたんです。
いや、もしかしたら僕に少しばかりの罪悪感があったからそう見えただけかもしれません。
でもあの時の僕にはそう見えたんです。
「な、なんだこれ?こんなだったけ?いや違うよな?でも・・・え?」
よくわかりませんでしたが、とりあえずミキに会おうとその不気味なカセットをゲーム機にいれ、起動したのです。
『----------ジジ。』
変な音と共にゲームは起動しました。
タイトル画面はピンクの背景に白い文字で“理想の彼女”と書かれていました。
「ゲームは一応正常かな?」
そう思っていたのは一瞬だったと思います。
ゲームが始まると、やけに現実味のある部屋が映し出されたのです。
「・・・こんな部屋なんてあったか?てかリアルすぎないか?」
それもそのはずでした。
扉を開けて入ってきたのはミキ・・・ではなく現実の彼女だったのです。
「・・・は?」
ゲーム画面の中にパジャマ姿の彼女が映っていたんです。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます