第392話 心霊スポット~とある廃病院その4~

「ところで柑奈、君はここで何か感じるかい?」

「何かって・・・特に何も感じないわよ。」

「ふむ。ということは、柑奈には別段特殊能力があるわけではないのか。」

「霊感のこと?あたしはそういうのよくわかんないのよ。おとうさ・・・クソ親父なら何か分かると思うけどさ。」

わざわざ言い直さなくても・・・でも、霊感ってどんな感じなんだろうなぁ。

「自分も特には何も感じないでありマスな。最も自分には霊感なんて無いと思いますけど。」

「それはわからないさ。ある説では霊感は皆が持っている能力で、それが開花しているかしていないか違いだっていうのがあるしな。ちなみに私も特に何も感じない。優君は?」

「僕もですね。でも、気になることはありますよ。」

「ほぉ。」

「何よそれは。」

「心霊スポットとか怖い場所って独特の嫌な雰囲気を感じませんか?僕は感じるんですけど、ここに入ってからそんな感じは無くって。だから逆に気になってるんですけど。」

「ふむ。確かにそういうのも感じないな。ふふっ。優君は面白い所に気づくね。」

「あははは。でもここってもう既にお祓いを済ましてるとかあるんじゃないんですか?そもそも婦長の幽霊がっていう話は無いんですか?」

「そういえばここまで婦長の霊の話しは無いわね。」

「どうなんでありマスか?式子殿。」

「ふふっ。それについては婦長が亡くなった病室で話そうと思っていたが・・・しょうがない。優君の質問に答えよう。」

「あ、ありがとうございます式子さん。」

「まずお祓いだが、そういう話は聞いていない。知人に頼んで詳しく調べてもらったから間違いはないと思う。」

知人って・・・いったい誰なんだろう?

「次に婦長の霊についてだが、これが不思議なことに婦長の霊を見たという話は無いんだ。」

「え!?」

「婦長が亡くなってから~っていう話ばかりだから婦長の霊を見たという話もあるのだろうと調べたのだが、誰も見ていない。もしかしたら見たけど誰にも言えない事情があるのかもしれないが、私調べでは無かったんだよ。婦長の霊の話しは。」

「それってつまりは婦長は関係ないんじゃないの?婦長が亡くなったことでそっち系に敏感になっただけでその前から霊障はあったとか。」

「可能性はある。だが、婦長が亡くなる以前の話しも無いのが事実。ま、つまりは謎だらけってことさ。」

「婦長の死も謎で、霊障も謎。謎ばかりの心霊スポットでありマスな。」

なんていうかハッキリしない場所だな。

でも、霊障は実在してるんだよなぁ。

他はともかくレントゲン写真は説明つかないし。

「さ、いよいよ婦長の亡くなった病室へ行こうか。」

嬉しそうに笑って歩く式子さんが、僕は少しだけ不気味に思ってしまった。

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