第373話 百物語合宿~お題:犯罪 中編その3~
しばらくの間、布団の中に籠りました。
出て、カメラを見たかったけど、できなかったんです。
「Hー!ご飯よー!」
気がつくと、晩御飯の時間でした。
恐る恐る布団から出て、カメラを見ると、昨日と同様に男性はいびきをかいて寝ていました。
「ど、どうなってんだ?」
理解できない現象に、自分は思考を停止してパソコンを閉じました。
「H殿が相談とは珍しいですな。それで?拙者にどのようなことをお聞きで?」
自分だけでは手に負えないと思った自分は、友人に相談することにしたんです。
もちろん、盗撮のことは伏せてです。
「じ、実は、ネット上の知り合いから奇妙な動画が送られてきましてな。そのことで相談を・・・。」
自分はどういう動画か、可能な限り細かく説明しました。
友人は終始、真剣な顔で聞いてくれました。
「・・・ふむ。なるほどですな。」
「どう、思われますかな?」
「ホラービデオかな?と思いましたが、結末を聞いてわかりましたぞH殿。」
「ど、どういう、ことですかな?」
「これは加工品ですな。H殿を驚かせようと考えたネット友人のイタズラですよ。」
「そ、そうですかなぁ?」
「そうでございましょうよ。その友人にはよろしくお伝えくださいな。」
それ以上は何も言えず、エロゲーの話をして帰りました。
「・・・ふぅ。」
家に帰って椅子に座ってパソコンを付ける。
当たり前のように繰り返してきたことが、急に出来なくなっていました。
パソコンを付けること自体は怖くはなかったんです。
けれどカメラを確認するのは、抵抗を感じました。
「・・・今日は止めよう。」
その日はパソコンを付けず、珍しくリビングでテレビを見ました。
「あら珍しい。Hがテレビ?しかもニュースって・・・熱でもあるの?」
「そんな気分の時もあるんだよ。」
「ふ~ん。あ、お母さんね。買い忘れたものがあんのよ。あんたここにいるんだから留守番しておいてね。」
「いってら。」
自分はあれがニュースになっていないか、テレビを見ていたのですが、何処かもわからない場所の事件ばかりであれのことは報道されませんでした。
「う~ん。やっぱり夢なのか?それともカメラの故障?それとも・・・カメラがバレていてのイタズラか?」
そんなことを考えているうちに、自分は眠ってしまったのです。
「・・・う~ん?」
どのくらい眠っていたのかは覚えていません。
ですが、目を覚ました時、驚きました。
「・・・へ?」
自分は椅子に座り、パソコンを付け、カメラを確認していたのです。
そして、丁度あの男性が部屋に入ってくるところでした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます