第308話 尾口先生の怖い?話~大好きなお婆ちゃん前編~
「やぁ、みんな。尾口重三郎です。今宵は、皆の大好きな怖い話。では無いかもしれないけど、とても不思議な体験をした話を語って行こうと思います。」
突然呼び出されたと思ったら何か始まった件について。
「今回ご紹介する話は全部で三つ。是非、お楽しみください。」
「あ、あの式子さん・・・。」
「しっ。聞いてみようではないか。この、余興を。」
あ~これは既に聞く流れなのね。
「まず最初に話のは、少年が体験した不思議な話し。皆さんも、お婆ちゃんとは仲良しですか?」
小さい頃、僕は毎日のように近所に住んでいた祖母に会いに行っていた。
足の具合が悪い祖母、けれど一緒には住みたくないと言っていた祖母の為に、両親は近くに住むことにしたんです。
そして毎日のように母が僕を連れて祖母の家を訪ねていたのです。
「おばあちゃん!」
「あら?Yちゃん、いらっしゃい。」
「おじゃまします!」
「あら~良い子にご挨拶できたね~。」
「お義母さん、今日もYと遊んでくれますか?」
「ええ。」
僕が祖母と遊んでいる間に、母は炊事に洗濯、掃除を済ますいつもの流れ。
「Yちゃん、幼稚園はどうかな?楽しみかい?」
「うん!あのね、ぼく、ようちえんでおりがみがしたいの!」
「あらあら。じゃあ今日はお婆ちゃんが鶴の折り方を教えてあげるね。」
「うん!」
静かに流れる時間の中に感じる幸せだと思う一時。
僕にとって、祖母は先生であり、友達でした。
本当に大好きでした。
「ううぅ・・・ぐすっ・・・。」
だから小学校に上がったばかりのあの日、祖母が亡くなったあの日だけは今でも忘れられませんでした。
「Y・・・。」
「どうして、どうじて、おばあちゃんは・・・ぐすっ・・・。」
「お婆ちゃんはね、いつでもYのことを見守ってるよ。」
「ううぅ・・・ほんとう?」
「ええ。ね、あなた。」
「ああ。おふくろは本当にYのことが大好きだった。そんな大好きなYをお婆ちゃんが近くで見守らない訳無いだろ?だからな、Y。お前はお婆ちゃんに立派な姿を、これから見せていくんだ。出来るだろ?」
「うん!ぼく、ぜったいに、おばあちゃんをかなしませるようなことはしないよ!」
「ああ。」
それからしばらくが経って、僕が小学校六年生の頃でした。
お墓参りを済ました夏休みの下旬、両親に連れられて旅行に行ったんです。
観光は、子供には退屈な神社や博物館などで少しだけ不貞腐れていたのを覚えています。
「次はどこ行こっか?」
「そうだな~。Yはどこに行きたい?」
「どこでもいい。」
「う~ん、じゃあYも楽しめる所に行こう。」
両親が次に観光先に選んだ場所は、大きな滝でした。
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