第306話 高宮君の怖い話~スキマババァ中編その2~
深夜アニメを見続ける僕に悩んだ両親は、この作り話である怖い話をあたかも本当のように演じることにしたんです。
「U!もう寝る時間よ!」
「ええ~。僕、このあとのアニメも見るの!」
「アニメは我慢しなさい。早く寝ないとスキマババァに食べられちゃうわよ!」
「僕知ってるもん!スキマババァなんていないんだよ。ママ知らないの?」
「本当にそうかなぁ~。」
コンコンッ。
「ひゃ!?」
「ほ~ら。スキマババァが様子を見に来ちゃった。」
夜9時に駄々をこねる僕の為に、母親が叱り、父親が外から窓をノックする。
今思えば相当苦労させたなぁって思います。
でも、子供の僕は聞き入れるわけもなく・・・。
「き、聞こえなかったもん!」
コンコンッ。
「ほ~らまた。早く寝ないと食べられちゃうんだから!」
「こんなのうそだもん!スキマババァなんていないもん!」
こんなやり取りを何回か続けた両親と僕は、遂に第三者を巻き込む羽目になったんです。
「はぁ。」
「どうしたんすか先輩。」
「いや子育てがな。」
「アハハ!まだまだ新米パパですか?お子さんいくつでしたっけ?」
「今年で小学三年生だ。」
「お!てことはやんちゃ盛り?いや~自分もよくやんちゃしましたよ~。」
「やんちゃじゃないんだよ。」
「へ?んじゃもしかして・・・イジメっすか!?大変じゃないっすか!?」
「いやいやそうじゃないんだよ。」
「じゃあ・・・何ですか?」
「実はな・・・。」
親父は部下に全て話したそうです。
「ほ~ん。深夜に起きてる、んでスキマババァね。」
「最近は完全にスキマババァではなく、外で窓をノックしてるのは俺だって言うようになっちまってな。いや~まいった。」
「あ!んじゃいい方法があるっすよ。」
「ん?何だよ?もしかして叱りつけるじゃないだろうな?いいか、叱りつけると後々・・・。」
「俺がスキマババァをやるんすよ。」
「うん?」
「だから先輩と奥さんがお子さんの目の前にいる状態で俺がスキマババァを演じればいいんすよ。そうすれば信じますって。」
「そ、そうか?」
「だってありえないでしょ。夜遅くに窓をノックする人なんて不審者ぐらいなもんすよ。」
「な、なるほど!確かにそうだな!た、頼めるか!?」
「任せてくださいよっと・・・あ~金曜でいいすか?今日は彼女とデートがあって無理っすわ。」
「わかった。是非、頼むよ。」
第三者、親父の部下の人は俺の為にスキマババァを演じてくれたんです。
だけど、奇妙な体験をしたのも、その金曜日だったんです。
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