第244話 夏休み最初のオカルト研究会

夏休みの学校というのは、とても不思議な感覚に浸らせてくれる。

生徒たち全てが登校してくるわけでもなく、八時半までに来なければならないというルールもない。

いつもは生徒たちでごった返す通学路を一人で歩くのも、不思議な感覚の一つだろう。

だが、嫌いではない。

この通学路を独り占めできるという体験は僕に満足感を微量ながら与えてくれる。

「ま、午後通学っていうのも夏休みならではだよなぁ。」

そして通学するのが嫌にならない素晴らしい設備が僕の学校にはあるのだ。

「うん、素晴らしいな。」

暖冷房完全完備のこの高校は廊下ですらクーラーが聞いている。

むしろ家で過ごすよりいいかもしれない。

「こんにちわ~。」

もちろん、このオカルト研究会の部室も暖冷房完備である。

「こんにちわ優君。」

「式子さん!こんにちわ!」

「遅いわよ優。」

「柑奈さん!こんにちわ!」

「いや~この学校でよかったって思える瞬間がこの夏休みだよねぇ。クーラーバンザイ!」

お!今日は尾口先生もいるんだな。

「尾口先生こんにちわ。」

「はい、こんにちわ。優君、夏休みに入ってから一週間経ったけど、どうだい?」

「はい!課題のほとんどが終わりました。後は、読書感想文と科学の実験記録だけです。」

「うっそマジぃ!?」

当然なのだ。僕の拘りだからな!

「ハハハハ!凄いなぁ。かなり課題の量が合ったと思うんだが?」

「そうですね。そこは高校生だなぁ。と、思ったくらいですね。」

「うんうん。これなら来年はもっと増やしてもいいかもなぁ。」

お!望むところですが?

「止めて!私が大変迷惑を被るから!!」

「じょ、冗談だよ柑奈君・・・。」

ん~残念。課題があれば理由ありきの勉強になるのに。

「てか優、あんた夏休み入ってから課題以外何もしてないの?」

「いいえ。創兄さんと少し遊びましたよ?」

「創兄さん?あんたお兄ちゃんいたの?」

「従兄ですけどね。でも、兄弟みたいなもんですね。」

「へ~会ってみたかったね(子供の頃の優君が知りたい)。」

「機会があればいいですよ?」

「そん時はあたしも会わせなさいよ(子供の優の写真が見たい)?」

「もちろんいいですよ。」

そんなに創兄さんが見てみたいのかな?

「さて、おしゃべりはここまでにしてオカルト研究会の活動を始めよう。一学期は日誌形式で報告を聞かせてもらったが、やはり新入部員は優君以外は厳しいのかい?」

「勧誘は続けるつもりですが、成果はまだ出ていないですね。」

「あたしも兼部OKって言ってんのにさ~。誰もうんって頷かないのよねぇ。」

そんなことしてたの!?

僕初耳なんですけど!!?

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