第240話 高宮君の怖い話~探していた人は・・・。前編~

「さて優、今度はお前の番だぞ。」

「ん?どういうこと?」

「学校生活に決まってんだろ!お前、今年から高校生なんだから色々あるだろ。部活は何に入ったとか、彼女が出来たとかさ。」

「そういう創兄さんは彼女出来たの?」

「俺は・・・あれだ。まだ合コンを楽しみてぇ。」

うん。これはしばらくは出来ないな。

「僕もまだ彼女なんていないよ。というよりも、今はオカルト研究会が優先かな。」

「お!やっぱりお前はオカ研に入るんだな。俺の大学にもあるけど・・・う~ん今度行ってみるか。」

なるほど創兄さんの大学にはオカルト研究会があると・・・メモメモ。

「んじゃ、オカ研の実力を見せてもらいたいねぇ。」

「実力?」

「彼女の話が聞けないなら実力だろ?」

「何でそうなるのさ。勉強のこととかもっと他に聴くことあるでしょ?」

「バッカヤロウ!この俺が勉強のことを聞きたいと思うか?大学受験で腹いっぱいだっての!」

そんなの知るか!

「・・・実力って何すればいいの?」

「ま、何か怖い話を聞かせてくれよ。ん~出来ればあんま怖くないのかな。」

怖くない怖い話って・・・矛盾してない?

「何で怖くない話なの?」

「今度開かれる合コンで披露して、女の子をお持ち帰りしようと今思ったからな。あんまり怖すぎてビビられてしまっても・・・な?」

な?っじゃねーよ!!

女の子をお持ち帰りするために何で僕が・・・ん?何かこんな感じ何処かで・・・。


「ぶえっくしょんっ!!・・・ん?風邪でも引いたかな?」


「頼むぜ優~。」

「ハイハイ。ん~怖い話でも怖くない話か・・・!」

「お!何かあるのか!」

「そうだね。最近知った話ならあるよ。これなら怖くないかも。」

「マジか!?聴かせてくれ!」

「これは、20歳になった青年の話・・・。」


成人式で大量に酒を飲んだ次の日、僕は頭の痛さで起きた。

「いったぁ・・・ん?今何時だ?・・・6時って・・・はぁ、休みなのに・・・。」

その日は起きた時、最悪な気持ちと何だかわからない変な気持ちになった。

言葉で表すと・・・たぶん大切な何かを夢で思い出して、目覚めて忘れたって感じかな。

さほど気にしなかったけど、なんか微妙にむず痒い気持ちはあった。

「もしもしA?あんた次はいつ帰ってこれるの?」

「母さん・・・またお見合いの話?断ってよ。」

親元を離れた僕に、母は毎朝電話してくれる。

シングルマザーとして僕をここまで育ててくれた母は誰よりも僕のことを心配し、誰よりも僕の幸せを願ってくれる。

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