第214話 高宮君の怖い話~鳴らない電話機後編~

「まったく!何なんだ!」

「ど、どうかしましたか?」

「いや聞いてくれよB!意味の分からん女が・・・。」

C係長の話をまとめるとこうだった。

やけに明るい声の女がC係長にとんでもない事言った。

厳密に言えば、C係長を相手にせず、ずっと社員のDさんのことばかり聞いてくる。

頭に来たC係長は適当に相づち打って切ったそうです。

「何なんだよ!『Dさんですよね!Dさんですよね!』って。いきなり言われたって俺はCだっての!何度も言ってんのによぉ。人の話聞けっての!」

「そ、そうですよね。」

「んでさ、Dさんに伝言してくれって言われてよ。」

「え?」

明らかに俺の時とは違う内容。

あの女がDさんに何を言うって言うんだろうか。

「何かよくわかんねぇんだけどさ、『Aさんは残念でしたね。クヒヒ・・・。』だと。何が残念なんだよ!A主任とDさんは関係ねぇだろ!何?不倫でもしてたわけ?本当に意味が分かんねぇっての!」

なぜあの女がそんなことを?

その疑問を口に出す前にC係長はこう言いました。

「しかもわかんねぇのはこの後なんだよ。あの野郎『Aさんが来てくれても良かったんですよ。クヒヒ・・・。』だとよ。いたずら電話にしても質が悪いよな?」

背中に嫌なものを感じました。

もしかしたら俺はとんでもないことに巻き込まれたのかもしれない。

そんな考えを胸にしまい、俺はなんとか平静を装いながらC係長の話を聞き流しました。

その後少しして俺は会社を辞めることにしました。

どんな理由だろと、何が起きたにせよ。

俺はもう二度と関わり合いたくありませんでした。

結局あの電話の女は何者だったのか。

A主任は何で亡くなったのか。はたまた俺のせいで亡くなることになってしまったのか。

今でも分かっていないません。

けれど、知りたくはありません。

俺は本当にもう関わり合いたくありませんから。


「以上です。」

どうですか?式子さん!

僕の目の訴えに応えるように式子さんは笑う。

「ふふ。実に興味深い、良い話だったね。」

「本当ですか!」

「ああ。そうだろう星夜?」

「・・・。」

「星夜?」

「負けた。」

「うん?何に負けたのだ?」

「入部してまだ半年も経っていないのに。それなのに・・・。」

「星夜?」

「子犬ちゃん。」

「はい。なんですか神楽坂さん?」

「君は・・・才能が有るんだな。」

はいぃ?何をおっしゃてるのこの人?

「これほど心と体が震える恐怖。実に甘美だった。」

あ、変態ですね。

「だがしかし!まだまだ俺は負けるわけにはいかない。まだ子犬ちゃんに抜かれるべき時期ではないんだ!」

抜かれることは確定ですか、そうですか。

「待っていてくれ子犬ちゃん!明日、俺が最高の恐怖を与えよう!」

そう言い残した神楽坂さんは優雅に部屋を出て行きました。

「・・・残念だが星夜。君は既にこのオカルト研究会の中では最弱だよ。」

式子さんの物凄い発言を聞くことは無かった。

てか、最弱とか何なのさ?この研究会に階級制でもあるのぉ?


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