第200話 麒麟園さんの怖い話~見ているもの中編その2~
「んでさ、何か変わったの?」
「ん~それがさ、最近になって変わったんだよね。」
「え?マジ?どんな風に変わったの?」
「それは・・・。」
そう中学二年生になってあの夢のような体験は少しだけ変化した。
それは息遣いだ。
小学生の頃は人の気配と視線。
その二つだけだったのに中学に上がってからは息遣いも聞こえるようになっていたのだ。
けれどそれは耳元ではなく、遠い所から微かに聞こえる感じだ。
「え~何それ?もしかして変態でも住んでんじゃない?」
「マジ?」
「うちのAを傷物にしようものなら容赦はしない!」
「アハハ。守ってねBちゃん。」
「もち!Aはうちのもんじゃい!誰にもやらん!」
Bの言う通り変態がいるだけだったらどんなに良かっただろか。
何か分らない不可思議な正体だからこそ、父や母に相談できずにいるというのに。
「ハァハァハァ・・・。」
(はぁ。いい加減にしてほしいな。)
毎晩毎晩この現象に遭遇し、寝不足の日々。
何かするわけでも、何かされるわけでも、何かできるわけでもない。
(こんな日々に何の意味があるの?こいつ?でいいか。こいつは何がしたいの?意味わかんない。)
「ハァハァハァ・・・。」
(はぁ。ほんと、早く終わって欲しい・・・。)
「ねぇA。」
「ん~?何ママ?」
「最近・・・いえ、もっと前から思っていたんだけど、あなた夜に何かしてるの?」
「え?」
「いえ、気のせいならいいの。」
「なになに?どういうこと?」
「その、昨日も何だけどね。ママが夜にトイレに行った帰りなんだけど、あなたの部屋から明かりが漏れていたから。その、別に夜起きてることは叱る気ないんだけど、Aは女の子なんだから早く寝たほうが良いわよ。美容の天敵は夜更かしなんだから。」
「・・・ん。わかった。気を付けるね。」
「ええ。」
明かりをつけて寝ることなど私にはありえなかった。
ならば何の明かりだ?そもそも誰かが明かりをつけているのか?
私は今まで気にしなかったこの現象に初めて興味を抱きました。
「え?パパがAのベットで寝るのかい?」
「うん。ダメかな?」
「ダメじゃないけど・・・何でだい?」
「ん~久々にママと寝たいし・・・ね?」
私は初めて父に嘘をついた。
父を実験に使うのは気が引けたが、気にしだしたら止まらなかった。
「ん~よくはわからないけど、Aがそうしたいならいいよ。僕は眠れるなら床だって・・・。」
「ん~ん。ベットで寝て。床で寝たら絶交ね。」
「なにゆえ!?」
父にベットで寝てもらうことで私が体験していることが父にも起きているのかが分かる。
そんな私の想いを裏切るようにその日の夜は私にも父にも何も起こらなかった。
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