第168話 式子さんの怖い話~動かないカレンダー後編~
それはお伽話のような奇妙な話。
それは明治時代ぐらいの頃だったそうだ。
明治時代の御先祖様は男児の兄弟で、それぞれ大病を患っていたらしい。
毎日のように病院の窓から眺める景色に嫌気を差した兄は自分の生きた証としてカレンダーに日記を書いたそうだ。
一年間、書き上げた兄は弟を残して亡くなったらしい。
兄が亡くなると、弟は不思議と回復。
兄のおかげと思った弟は兄の遺品であるカレンダーを家の家宝にした。
それからしばらくして時が経ったある日、弟が亡くなった。
弟は最後の最後までカレンダーだけは大切にしてほしいと願った。
けれど、娘にとっては古びたカレンダー。
何の価値も無いことから遺言を無視して捨ててしまったらしい。
すると、娘はすぐに流行り病にかかり亡くなったそうだ。
そして不思議なことに捨てたはずのカレンダーは戻って来ていたらしい。
それから何度かカレンダーをどうにかしようとしたが、カレンダーを触った人は例外なく亡くなったらしい。
そのことが恐怖となって、お爺ちゃんのお爺ちゃんは触れることを禁じた。
それを破ったお爺ちゃんの弟さんは亡くなったらしい。
「だから触れちゃなんねぇぞ。ええな?」
「うん・・・。」
触るのはダメ。
だけど、一目見るぐらいは良いんじゃないか?
その好奇心で僕はお爺ちゃんたちの目を盗んでカレンダーを見に行った。
どこにあるかはすぐにわかった。
それはたまたま小さい頃に入ろうとして怒られた部屋。
あの日以来近づかなかった部屋に僕は入ったのだ。
その部屋はテーブル以外に何もなかった。
「・・・この部屋だよな?」
カレンダーなんてどこにも見当たらない。
「おかしいな。この部屋じゃないのか?」
「ぎゃあああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
突然の悲鳴に驚いた僕は部屋を慌てて出た。
居間に行くと、お爺ちゃんたちが大騒ぎしていた。
お母さんが突然倒れたらしい。
何が何だかわからないままにお母さんは亡くなった。
葬儀の後、お爺ちゃんが僕に話してくれた。
「カレンダーが何処にあるか知っているか?」と。
「これでおしまい。」
それって・・・。
「お、お母さんがカレンダーに触れたってことですか?」
「恐らくそうなのだろう。確証はないがね。」
けどじゃあカレンダーは何処に?
「ふふ。優君もそう思うだろ?じゃあカレンダーは何処に行ったのか。はたまた今はその家に戻って来ているのか。そもそもどうして兄の遺品であるそのカレンダーは呪いの品になってしまったのか。実に興味深い話だ。」
最初の段階は神楽坂さんの話してくれた『笑う岩』と同じ人の想い。
けど、それが時間が経つにつれて呪いに代わり、実害を出した。
じゃあもしかしたら・・・。
「『笑う岩』もそうなるかも、しれないね。」
・・・今頃になって背中が冷たいな。
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