第165話 神楽坂さんの怖い話~笑う岩後編~
「いた。」
Dちゃんの後をついて行くと、Dちゃんは公園で一人座っていたらしいんだ。
「座ってるだけ、だよね?他の子と遊んでる様子もないし・・・やっぱり嫌われているのかな?」
嘘をついてまでCさんと遊ばないDちゃんに、Cさんは仲良くなる自信が薄れて行ったそうなんだ。
そして、それを決定づける出来事が起きたんだ。
「もう暗くなってきてる。早く帰らないと、この子も冷えちゃうよね。」
「あぶ?」
「ううん。心配ないわよ~もう帰るからね~。もちろん、お姉ちゃんと一緒にね~。」
「あぶぶ!」
「ふふ。」
CさんがDちゃんに声を掛けようとした時、突然Dちゃんは笑顔で走り出したそうだよ。
「え?」
「やっと来たね!いつも遅いよ!」
「・・・。」
「え?ごめんじゃないよもう!また少ししか遊べないじゃん。」
普段ほとんどじゃべらないDちゃんが饒舌に話していたらしいんだ。
それどころか、話し相手が・・・。
「誰と、話しているの?」
Cさんの目にはDちゃん以外誰もいなかったらしい。
「今日は何して遊ぶ?え?また笑い話が聞きたい?ん~でももう全部話したしな~。」
「・・・キャキャ。」
「え?君が話してくれるの?いいね~!で、で?どんな話?」
「キャキャ!」
「あはははは!」
「キャキャ!」
Cさんは怖くなってしまったそうなんだ。
Dちゃんはどう見ても誰とも話していない。
なのに会話は成立しているし、Dちゃんのではない笑い声も聞こえたんだって。
「キャキャ!」
「しばらくはその笑い声が耳にこびりついていたそうだ。」
「結局、この岩は何なんですか?」
「この岩はDちゃんが作り出した仮想の友達なんじゃないかな。Dちゃんの想いがこの岩に宿り、夜な夜な笑っているんじゃないか。そう、俺は思うんだけど、どうかな?」
一応筋は通ってるか。
「Dちゃんは馴染めない母親と突然失った母親の精神的な痛みから逃げるようにこの岩を何でも話せる友達にしたってことですか?」
「その通り。流石は子犬ちゃん。」
「ちなみにそのDちゃんの今はどうなんですか?」
「さぁね。俺も聞いた話だからその後はわからないよ。でも、本当にこの岩が笑うかどうかには興味が持てないかい?」
「そうですね・・・式子さんが興味を持ちそうですけど。そういえば何で今日は僕だけなんですか?」
「んふ。それがこの話を式子たちにもしたんだけど、誰も興味を持ってくれなくてね。子犬ちゃんなら興味を持ってくれるかなって。」
あの式子さんが興味を持っていない?何でだ?
「ま、俺も何日かここを通ってみたけど、笑い声は聞けてないんだけどね。」
・・・もしかして式子さんはこの情報がガセだと判断したんじゃ・・・。
「どうだい?子犬ちゃんも一緒に夜までいないかい?」
「遠慮します。」
興味云々以前に神楽坂さんと夜を過ごす度胸は無いな。
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