第164話 神楽坂さんの怖い話~笑う岩中編~

「それに驚いたBさんは逃げ帰ったそうだよ。」

なるほど。今度は学生か。

学生なら酔っぱらっていたという言い訳は通じないな。

「他にも数多くこういう話が存在するんだ。どうだい?興味を持たないかい子犬ちゃん?」

「確かに興味がありますね。」

「だろ?だから俺はこの岩について調べたんだよ。どうして笑うのか、をね。」

「それで何が分かったんですか?」

「この岩にはこんな話があったらしいんだ・・・。」


Cさんは新米ママで、子育てに全力を注いでいたらしい。

「あぶぶぅ。」

「は~い何でちゅか?」

「あぶ~ぶ。」

子供が大好きなCさんは毎日愛情を注いでいたんだけど、Cさんにはもう一人子供がいたんだ。

「・・・ただいま。」

「あ、お帰り。」

その子はDちゃんって言うんだけど、Cさんの子供ではあるが、本当の子供ではなく、Cさんの旦那さんの連れ子だったんだ。

「Dちゃん、今日の学校はどうだった?」

「・・・ふつう。」

「おやつ、食べるでしょ?今日はママがプリンを作ってみたんだぁ。」

「・・・うん。」

けど、上手くいっていなかったそうだ。

連れ子でも、Cさんは変わらない愛情を注いでいたんだけど、Dちゃんには届かなかったらしい。

「どう?美味しいかな?」

「・・・うん。」

「ほんと?ママ嬉しいな~。今度はDちゃんも一緒にプリン作る?」

「・・・いい。」

「あ、それともケーキのほうが・・・。」

「ごちそうさま。あそびにいってくる。」

「あ、Dちゃん!・・・行っちゃった。はぁ。やっぱり本当のママがいいのかなぁ。」

Dちゃんの本当のお母さんは事故で亡くなったらしく、それが原因でDちゃんは笑うことがなかったそうだよ。

「ねぇ。」

「ん?なんだ?」

「Dちゃんのことなんだけど・・・。」

「Dがどうかしたのか?」

「その、私のこと、認めてくれないなぁって。なんだか自信無くしちゃって。」

「ん~そんなことは無いと思うぞ?」

「そう?」

「Dだっていきなり仲良くなることは難しんだよ。ゆっくりと時間をかけていけば仲良くなれるよ。思い出してみろよ?最初は会話すらしてくれなかっただろ?」

「そうかな?」

それからも毎日CさんはDちゃんに話しかけたんだけど、全然心を開いてくれなかったんだ。

「あそびにいってくる。」

「ねぇ、Dちゃん!」

「・・・?」

「今日はママと一緒にお家で遊ばないかな?ママね、積み木とか得意なんだよ?」

「・・・いい。」

「あ、Dちゃん!・・・またダメか。そういえばDちゃんってどこで遊んでるんだろ?」

それは小さな好奇心だったらしいんだ。

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