第151話 式子さんの怖い話~ひきこさん。後編~
Aが後で聞いた話になるが、BとCは人気のない線路の上で亡くなっていたらしい。
それも、顔が引きづられたようにぐちゃぐちゃの状態で。
あいつが何だったのかはわからなかったが、皮肉にも学校は平和になり、DとEは再び学校に通えたのだった。
「以上が『ひきこさん。』の話だ。」
やはり『ひきこさん。』の話はなかなかに胸糞悪い話だ。
「この話を知った瞬間、私はある種の言いようのない興奮を覚えたんだ。」
式子さんは細い体を大事そうに抱きしめて、こう言った。
「初めて知ったんだよ。“恐怖”を。それからというもの私は怖い話にのめり込んでね。今では実際に私が体験したいと思っているんだよ。」
興奮しているのか、式子さんの頬は少し赤く、笑う口元は何とも言えない妖艶さを感じてしまう。
ハッキリと言えば狂っている。
けれど、目を離せない美しさを僕は式子さんに感じてしまう。
「け、結構あれね。」
「で、ありマスね。」
「んふふ。式子の気持ちはとてもわかるよ。俺も怖い話を聞くと・・・ふふ、勃つんだ。」
どこが!?てか、こっち見るな!!
「まぁ蛆虫はキモイけど、式子の気持ち、あたしにも少しはわかるわ。」
「へぇ。」
「自分もでありマス。式子総司令の言うように初めて聞く怖い話は変な気持ちの昂ぶりがありマスな~。」
「ね。あたしもそう思う。変に気持ちが昂んのよね~。」
つまり柑奈さんや麒麟園さんも興奮すると・・・これ以上は想像してはいけない。
「これがきっかけで私は怖い話が好きになったからね。今ではあの先生に少しは感謝しているよ。」
「でも、その話しがなければ非の打ちどころのない美人がこの学校にいたかもしれないのね。」
実に惜しい話だが、今の式子さんも十分に魅力的だと僕は思う。
「ふふ。だがそしたら柑奈に出会ってなかっただろうね。」
「・・・そうね。その通りだわ式子。あんたが怖い話好きじゃなかったら関わってなかったもん。」
「でありマスね。自分もそう思います式子総司令。」
「んふふ。俺は関わっていたかな。式子のような美人を放っておく男はいないでしょ?」
この人ならやりかねない。
「そうか・・・。」
ん?式子さん?
「だが私は欲張りなんだ星夜。」
「んふふ。」
「星夜だけでなく、柑奈や千夏、そして優君。皆と私は出会い、一緒にいたいんだ。だから後悔などない。」
・・・式子さんらしいなぁ。
「さて、湿っぽい話は終わりにして帰ろう。明日からも活動は続くぞ。」
「「「「はい。」」」」
「ふふ。」
部屋を出る際に笑った式子さんは今までで一番の笑顔でした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます