第150話 式子さんの怖い話~ひきこさん。中編その4~

次の日、Eさんは学校に来ませんでした。

Eさんのことを聞いたDさんも同様に学校に来ませんでした。

「あ~スッキリした。」

「ね!ようやくゴミが片付いたよね~。」

「・・・。」

「あ~でも暇だな~。」

「んだね。平和な学校ってこんなにも暇なんだね~。」

どの口が言ってるんだ!と、言いたいがAさんはただ無言でここにいるしかできない。

「・・・ねぇ。」

「ん?何よC?」

「あいつのこともいじめない?ほら、Bのことフッたやつ。」

「っ!?」

「・・・いいねぇ。せっかくあたしという美人が告白してやったのにフッたあいつね。」

「あひゃひゃ!自分のこと美人って言う普通?」

「いいじゃん!事実だもん!ね、A。」

「う、うん。そうだね。」

限界だ。誰か、この二人を消して欲しい。

Aさんは心からそう願いました。

その日の帰り道、BとCと別れたAさんは暗い表情で帰路についていました。

「はぁ・・・どうしよう。あした、学校に行きたくないな。」

「・・・ネェ。」

「え?」

声がして顔をあげようとしてAさんは止まりました。

視界に入ったのが、ボロボロの白い服から見える酷く痩せこけた足だったからです。

「・・・ネェ。」

声が出ないAさんは背中に冷たいものを感じました。

言い知れぬ恐怖がAさんを襲ったのです。

「・・・ネェ。アナタハイジメッコ?」

“いじめっこ”。

その言葉を聞いた瞬間、Aさんの首は無意識に横に振っていた。

「・・・ソウ。アナタハイジメッコチガウ。」

それだけ言い残すと、そいつはゆっくりとAさんの視界からいなくなった。

「ッ!」

動くようになったAさんはすぐさま辺りを見回しましたが、何処にも人はいませんでした。

「・・・今のって・・・なに?」

何かはわからないが、Aさんは許されたような気持ちになったのです。

次の日、学校に行くとCが休みでした。

「あれ?Cは?」

「知らない。」

「ふ~ん・・・んじゃ、今日は一緒に帰ろうね、A。」

「・・・うん。」

Cさんが学校を休むことは珍しくないため、BもAさん自身もそれほど気にしませんでした。


「んでさ、あいつがさ~。」

放課後の帰り道、AはBの話を聞きながらあの道を通っていました。

(この道って・・・。)

「ん?どしたんA?」

「い、いや別に・・・。」

「ふ~ん変な・・・なにあいつ?」

「え?」

Aさんが顔をあげた瞬間、物凄い勢いでBさんが吹き飛んでいきました。

「っ!?!!?」

振り返ると、物凄い速さで引きづられて行くBが見えました。

「あ・・・あ・・・あ!」

悲鳴を上げる暇もないほどにBを引きづっていたのは昨日見たあいつ・・・でした。

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