第130話 麒麟園さんの怖い話~こっくりさん。後編~
「どうしよう・・・。」
友達が笑いながら帰る中、私だけは憂鬱でした。
私に抱き着くようにとり憑いているこの綺麗な女性をどうすればいいかわからなかったからです。
「けど、大丈夫かな?」
「ああ。『こっくりさん。』が帰る前に指放したこと?」
「うん。」
「心配ないんじゃない?私たちの誰も狐になってないよ?」
「それ、どういう意味?」
「『こっくりさん。』にとり憑かれると狐になっちゃうんだって。隣のクラスの子が話してたよ。」
「じゃあ安心だな。誰も狐になってねぇし。」
「ごめんねユウちゃん。」
「え!?何が!?」
「先生に怒られちゃったこと。」
「あ、ああ~。別にいいよ、うん。」
「んじゃ、うちはこっちだから。」
「あ、あたしも。」
「私はこっち。ユウちゃんバイバイ。」
「うん。バイバイ。」
笑顔で別れて行くみんなに私は恨み言の一つも言えないまま、人の目のない場所で『こっくりさん。』と話してみることにしました。
「ねぇ、『こっくりさん。』とり憑くのやめてもらえませんか?」
『こっくりさん。』は首を横に振って否定するだけです。
何度お願いしても首を縦に振ってくれず、諦めた私はお婆ちゃんを頼ることにしました。
「あんら。またこら別嬪さんやねぇ。」
「お婆ちゃんどうにかならない?」
「う~んだな。婆ちゃんも霊感があるんだけで、お祓いまではできんよ。」
「そんなぁ。」
「けんども、この別嬪さんは悪い霊やない。婆ちゃんには温かい、お日様んよぉな光が見えるん。」
「温かい光?」
「んだ。だかん、お祓いせんでもユウに悪いことはせん。むしんろ、守ってくれるやもしれんぞ。」
私の疑いの目も気にしていない綺麗な女性は結局、お婆ちゃんにもどうすることもできませんでした。
けれど、お婆ちゃんの言っていたことは正しかったのかもしれません。
だって、私が危ない目に遭う前に綺麗な女性が教えてくれるから。
「と、ユウちゃんは自分にこっそりと話してくれたでありマス。」
「ほへ~。何て言うか、怖い話というよりも良い話って感じですね。」
「ムフフ。たまにはそういう話もいいでありマスよね。」
「ですね。」
ん?ちょっと待てよ。
「その話って麒麟園さんが中学校の頃に聞いた話ですよね?」
「そうでありマスよ?」
「と、いうことはですよ。そのユウちゃんさんは今も『こっくりさん。』がとり憑いているんですか?」
「詳しくは知らないでありマス。ユウちゃんとは高校は別でありマスから。」
それは残念。
もし、今もとり憑いているのであるならば、僕にも見えるか試してみたかったよ。
「もちろん、紹介することもしないでありマス。」
「それはまた何でですか?」
「ユウちゃんは美人さんでありマス。美人のユウちゃんを高宮兵の毒牙にかける訳にはいきませんので。」
あははは!その巨乳をもげるまで揉むぞゴラァッ!!
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