289話 格闘少女も活躍する
前回のあらすじ
紫音はリザード本拠点攻略が開始されてから、活躍を続け脳内百合お花畑王妹様と気弱魔法使い少女とツンデレ少女に好意を持たれるという、ラノベ主人公のような活躍をする。
だが、駄目なお姉さんの紫音である。
果たして、どこまでラノベ主人公として活躍し続けられるのか…
#####
「神秘なる女神の力よ、我が敵を切り裂け! フラガソラス!」
特殊能力が発動した女神武器フラガソラスの膨れ上がった刀身の輝きは、エスリンの掛け声と共に分裂して5つの光の刃となるとリザード目掛けて飛んでいく。
飛んでいった5つの光の刃は、それぞれリザードを追尾して的確に切り裂いていき、20体を魔石に変えた後、力を失い消滅する。
戦闘開始から30分―
氷の床は本拠点の手前200メートルまで進み戦場で戦っているのは、リザードは100体、人間側は250人程となり、まさに一進一退の攻防を繰り広げていたが、遂に前線に四天王2体と副官4体がやって来て猛威を振るい始めた。
そして、後方よりヒュドラが地響きを立てて、ゆっくりと迫ってくる。
「ウロコモ モタナイ ニンゲンナドオソルルニタラヌ!」
四天王の一体イリエが部下達に檄を飛ばし
「センシタチヨ! ココカラガ、ホントウノタタカイダ!」
もう一体の四天王オリノコが、部下達を鼓舞すると、リザード達が鬨の声(鳴き声)を上げて戦意を高揚させる。
「怯むな! ここからが正念場だぞ! 奴らに人間の底力を見せつけてやれ!!」
ユーウェインも対抗して鼓舞すると、兵士達もリザードに負けじと声を上げて、自らを鼓舞した。
両軍の鬨の声が戦場に響き、それが静まるとそれを合図に第二回戦が始める。
「スギハラ! そっちの四天王を頼む!」
「おう!」
ユーウェインとスギハラは、お互いに正面から突進してくる四天王を迎え撃ち、ユーウェインにはエスリン、スギハラにはクリスがそれぞれ魔法でサポートに付いて戦闘を開始した。
副官のキューバにはレイチェル、副官クチビロには<クリムゾン>団長アーネスト・スティール、副官シャム<鷲の爪>団長ロジャー・バロウズ、そして副官モレレットにはアフラが対峙する。
アフラはモレレットが槍で繰り出す攻撃を回避しながら、間合いを詰めようとするが格闘の彼女と槍使いのモレレットとは相性が悪い。
「にゃ!? にゃ! にゃ!!」
彼女は槍の連続突きを、左右にステップしつつ体を半身に反らしながら回避して、少しずつ間合いを詰めていく。
モレレットは続けて横払いを放ち、アフラはそれをジャンプで回避するが、空中に逃げた彼女を突きで追撃する。
だが、そこにアフラのサポートをするノエミが、ハイオーラアローをモレレットの頭部目掛けて放ち、モレレットはそれを回避する為にアフラへの突きが疎かになり、突きの威力と速度が落ちてしまう。
アフラは、自分に向かってくる威力が弱くなった突きを刺さる寸前で、左裏拳で外に弾くと素早く地面に着地して、オーラステップで一気に加速してモレレットの懐に入り込み
「ハイオーラパーンチ!」
オーラを込めたパンチを胸に叩き込むが、モレレットは鱗と鎧に守られているため、あまりダメージを与えられず、後方に吹っ飛んだだけであった。
「やっぱり、これを使わないとダメだね! 女神の祝福を我に与え給え!」
アフラはミトゥトレットを顔の前で構えると手の甲に取り付けられた宝玉の周りにある装甲が縦に分かれて、左右にスライドして展開され周りのオーラを吸収し始める。
アフラは真正面からモレレットに突進すると、モレレットは当然槍で突いてくる。
槍は突進してくるアフラの心臓目掛けて突かれるが、アフラはその優れた動体視力と反射神経でその槍の穂先に右手のミトゥトレットインパクトを炸裂させた。
「ミトゥトレットインパクト!」
ミトゥトレットインパクトを叩き込まれた槍は、その威力によって穂先から粉々に消し飛ばされ、アフラはミトゥトレットを突き出したまま前進を続けて、穂先から今度は柄を消し飛ばしながら突き進む。
そして、モレレットの手元まで槍の柄を破壊すると、突き出していた右腕を引き戻して、体を捻ると2回目のミトゥトレットインパクトを放つ準備に入った。
槍を失い懐まで入り込まれたモレレットに、刹那の決断が迫られる。
一度テールステップで後方に逃げるか―
リザード自慢の口で噛みつき攻撃をするか―
だが、前者は追撃を受ける可能性が高いため、残りは1つである。
モレレットは、大きな口を大きく広げて、その牙と強力な噛む力でアフラを頭から齧ろうとするが、その開いた口に電光石火の如く彼女の右ストレートが叩き込まれた。
ミトゥトレットインパクトが発動するより、一瞬速くモレレットの口が閉じられその鋭い牙を突き立てるが、『フェミニウムβ』で作られたミトゥトレットには文字通り歯が立たず、
「ミトゥトレットインパクト!」
無慈悲にもミトゥトレットインパクトによって、その頭部を消し飛ばされ魔石に姿を変えてしまう。
アフラは援護してくれたノエミに、感覚が無くなってきた右手ではなく、左拳を出しながら「倒したよ!」と報告すると彼女は右の手平を肩の辺りまで上げて答える。
そして、その活躍を見ていたソフィーは、驚愕していた。
「な… なにィ!? シオン先輩どころか、“あの”お気楽能天気娘のアフラまで、真面目に… むしろカッコよく活躍するなんてェーーーー!」
ソフィーはこの状況に困惑して、思わず前回のアキのような驚き方をしてしまう。
「おかしい… こんなのおかしいわよ… だって、いつもは『はにゃ~』とか言って、地面を転がっているのに… 」
「アフラちゃんも成長したんだよ」
全身赤くノースリーブの服を着てサングラスを掛けたアキは、ソフィーの肩に手をおいてそう諭す。
だが、ソフィーは自分が成長していない事を自覚しているため、同期でありライバルであり親友のアフラだけが成長していることを認めたくはなかった。
「そうだよ、ソフィーちゃん。人は成長するんだよ。ところで、アキちゃんのそのおかしな全身真っ赤な格好は何?」
薬品を飲みながら、紫音は<お姉さんも成長してるで>といったしたり顔で、ソフィーに話しかけた後に、続けてアキの姿に今更ながら突っ込む。
「おかしなとは失礼な。これは、由緒ある赤い人のコスチュームなのに…… ん?」
アキはそう反論した後に、紫音のある重大な変化に気付く。
煽ったまま次回へ続く
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます