254話 王妹様の陰謀
前回のあらすじ
オータム801(BL漫画家・新シリーズ掲載開始)
@autumn801
ちょっと待って。さっきツンデレの男の子とジト目の男の子が、気の弱そうなショタ君を虐めていたら、先生 (モデル風180cm超え細マッチョさん)が、二人から気弱ショタ君を守って、「こいつを虐めるのは許さない」と言ってショタ君を抱きしめたww
すると、ツンデレ君とジト目君が先生に「だって、ソイツが先生を独り占めするから!」
と衝撃の告白をしたら、先生が「しょうがない奴らだ」と言って、二人の頭をワシャワシャした。私と隣にいた腐女子仲間と親友ポニー三人で固い握手をした。って話、する?
BL編集者@Carina5963 5分
その話、もっと詳しく!(゚д゚)
玉子梟@Liz_cardgamer 4分
オータム801には何が見えていたッスか?
お姉さまLOVE@Speedster 3分
ちょっと、何が頭をワシャワシャよ! アレはアイアンクローっていうのよ!! 凄く痛かたんだから! 頭が割れると思ったんだから!
品乳組局長@sion_Bcup 2分
あの修羅場を見ながら、TS化した挙げ句に内容を捏造して腐らせるなんて、ある意味すごい才能だね! あと、私まで腐女子に捏造しないでよ!! (>ω<)
貴腐人AKI@aki_mountain_river 1分
うるせーぞ、フラットスリー。ない胸さらに抉ってやろうか!?( ゜Д゜)
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リズとソフィーがミレーヌのアイアンクローを受け、紫音とミリアがその光景に怯えていた頃、その様子を一歩引いたところで見ているアリシアにアキが近づく。
すると、アキはアリシアに近づくと彼女にだけ聞こえるように声を押さえて、このような事を話しかける。
「アリシア様って、顔に似合わず意外とワルなんですね」
「アキさん、突然何のことでしょう? いくら、シオン様の幼馴染とはいえ、そのような誹謗をしてくるのは許しませんよ?」
アリシアは当然毅然とした態度で、そう反論するがその眼は少し泳いでいた。
アキは話を淡々と続ける。
「今回の護衛の件。最初からソフィーちゃんに依頼するつもりだったのに、一度彼女を“クラン”に帰したのは、彼女が使っていた『紫音ちゃんの隣の部屋』を自分のモノにするためですよね?」
アキの言う通りアリシアは、割り当てられていた紫音の部屋の正面の部屋から、方角が悪いとかそれらしい理由をつけてソフィーが使っていた紫音の隣の部屋にさっさと移り住んでいた。
もちろん、理由は隣の部屋から紫音の部屋の様子を壁越しに盗聴― もとい、見守るためである。
「なっ、何のことでしょう……。今回の件は、たまたまソフィーさんに決まっただけで、最初からあの方にお願いするつもりはありませんでしたわ…。なので、空いた部屋に移動したのは、ただの偶然です…わ…」
図星を突かれたアリシアは、アキと視線を合わせようとせずに斜め下に目を向けながら、少し声を震わせながらそう答えた。
「そうですか…。では、私のこの仮説を紫音ちゃんに話してもいいですよね? 紫音ちゃんはどう思うでしょうかね?」
アキは不敵な笑みでアリシアにそう問いかけると、彼女は観念したような表情でアキにこう尋ねてくる。
「それは……。何が…お望みですか…?」
「それでは、この金髪猫耳を……」
アキは目の前で観念する美少女に欲望のままにそう言いかけたが、踏みとどまって彼女にこのような返事を返す。
「私が助けを求めた時に、便宜を図ってください」
アキの目的は、クオンシリーズでアリシアをTS化したキャラを出していることが、露見した時の為の保険が欲しかっただけである。
(アキさんはやっぱり油断できません! ですが、今は条件を飲むしかありません。シオン様に、わたくしがこのような悪辣な事をする者だと思われるのだけは、避けねばなりません…)
アリシアはアキを訝しがりながらその条件を了承する、するしかなかった今の所は…
ミレーヌに開放されたソフィーに紫音が近づいて、頭を心配すると共に件の部屋の話をする。
「また戻ってきてくれるとは思わなかったから、ソフィーちゃんが以前使っていた部屋はアリシアが今使っているの。なんでも、アリシア曰く部屋は方角が悪いからって、メイドさんに頼んで引っ越しを済ませてしまったの」
「別に私は部屋なんて、どこでもいいわよ」
こうして、ソフィーはシオンPTに復帰して、万全の体制で明日のオーガ戦に備えることになると思われたが、夜に更に一悶着起きることになる。
その出来事は紫音が夕食を終えて、自室で明日の戦いの準備をしていた所に、アキが尋ねてきたことから始まった。
「アキちゃん、どうしたの?」
部屋に招き入れた紫音が、この時間の来訪理由を親友に尋ねる。
「明日戦いだというのに、こんな話をするのはどうかと思ったのだけど…」
アキは本題を話そうか少し渋ってから、意を決し幼馴染に話を始めた。
「紫音ちゃん…ミレーヌ様の事…どう思っているの?」
「どうって、昼間のこと? ソフィーちゃんとリズちゃんの二人を持ち上げるなんて凄いよね。流石はSランク冒険者さんだよね。でも、ミレーヌ様は凄く頼りになって、優しい人だから怖がらなくていいよ」
紫音はアキが昼間のミレーヌの豪傑ぶりを見て、怖がっているのかなと思ってフォローしておくことにした。
「紫音ちゃんはミレーヌ様の事…、不思議に思わないの? アレだけ強いのに、こんな街で総督をしていることを」
「えっ? どういうこと? 強いんだから総督という重要な役職で、合っているんじゃないの?」
紫音にはアキの言いたいことが、まだピンと来なかった。
アキは、この鈍感なのか敢えて気付かないふりをしているのか解らない親友に対して、遠回しではなくズバリと言うことにした。
「私ならミレーヌ様を、最前線の『フラム要塞』に配属させるわ。王都近くのコンテーヌ平原のクレーター郡を見たでしょう? あんな強力な魔法を使える人をこんな所に置いておくのはもったいないよ」
「それは要塞には、ユーウェインさんや四騎将さんがいるからじゃないかな?」
「私なら更にミレーヌ様を配属させて万全にする。フィオナ様に聞いた話だとあの凄い魔法『メテオ』は、ミリアちゃんと同じで女神武器の特殊能力で一回しか使えなくて、使用の反動で、ミレーヌ様の魔力をすべて使って更に気を失わせてしまうらしくて―」
「それが理由だよ!」
紫音はアキが言わんとする言葉にようやく気付いて、食い気味に反論してその言葉を言わせないようにする。
「それなら『メテオ』を使わなければいいよ。天才魔法使いと称されるあの人なら、『メテオ』なしでも十二分に戦力になると思うよ…」
「王様の命令でここにいるんだから、何もおかしくはないよ!」
紫音の反論にアキはすぐにこう答える。
「例え王様の命令でもミレーヌ様の性格なら、前線で戦っていると思うけどね。何よりあんなに可愛いがっているミリアちゃんが、要塞防衛戦に参加しているのに助力にいかないのはおかしいよ」
「……」
紫音はそのアキの答えに反論できなかった、彼女の言う通り紫音が知る限りのミレーヌの性格なら危険を顧みずに人々の為に前線で戦うはずで、何より可愛がっているミリアを助けにいか無いのはおかしいと実は紫音自身も薄々感じていた…
(まあ、ユーウェインさんにアレだけの権限を与える有能な王様が、ミレーヌ様をここに配属させているのがそもそも腑に落ちないのだけど…)
アキがそう考えていると、険しい顔をした紫音から尋ねられる。
「アキちゃんは、何が言いたいの!?」
「私が言いたいのは、ミレーヌ様は自分の意思によって、どのような理由かはわからないけど、前線で戦わないでいるということだよ。でもこれだけは言える、あの人は何かを隠している! だから、ミレーヌ様の事はあまり信用しないほうがいいと思うよ」
アキが結論を述べると、当然紫音は憧れ敬愛するミレーヌを疑う親友に反発する。
「ミレーヌ様は、そんな人じゃない! この世界に来た私にこの屋敷で住むように言ってくれたし、優しくしてくれたし、時には厳しいけど、それは私達を思ってのことだよ! ミリアちゃんへの接し方を見ていれば、悪い人なわけがないよ!」
紫音はアキに自分のミレーヌへの信頼を語り続ける。
「それに私の事を気遣ってくれて、ソフィーちゃんを雇ってくれたし、この腕章だってくれたんだから!」
紫音はそう言って、アキに自分の服の袖に付けたウルスクラフト家の名前で、即ちミレーヌが自分達を権力者から守ってくれる証『ウルスクラフト家の紋章が描かれた腕章』を見せた。
そして、敬愛するミレーヌを疑われて熱くなってしまった紫音は、怒りの余りにアキにこのような事を言い返してしまう。
「Sランク冒険者のミレーヌ様が、前線で戦わないのが怪しいって言うなら、同じSランク冒険者のフィオナ様だって前線で戦っていないよ! フィオナ様だって、怪しいよ!」
「フィオナ様は総主教だから、戦わなくたっておかしくないよ!」
アキは敬愛するフィオナを弁護するが、急に振られた為に少し甘い反論をしてしまい、紫音に反論の隙を与えてしまう。
「そんなことないです~! アキちゃんの理屈だと肩書関係ないです~! Sランク冒険者が、前線で戦わないのはおかしいです~!」
紫音の言い方にイラッときたアキは、冷静さを欠いてこう言い放つ。
「あのポンコツ聖女様が、本当にSランク冒険者なわけがないじゃない! アレは総主教として権威づけるために、教会の権限を使って冒険者プレートとスキルプレートをごにょごにょして、改竄したに決まっているよ!」
アキの辛辣な反論内容を聞いた紫音は少し冷静になり、ミレーヌと同じくらい敬愛するフィオナが可愛そうになって、聖女様をフォローする。
「一番信じてあげないといけないアキちゃんが、Sランクだって信じてあげてよ! フィオナ様が聞いたら、きっと泣いちゃうよ!?」
二人の言い合いは次回に続く。
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