海が太陽のきらり

作者 Han Lu

40

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★★★ Excellent!!!

実力派の書き手が集い、珠玉の作品がしのぎを削る、ゆあん様の企画『筆致は物語を超えるか』にあって、この作品の個性は抜きん出ています。

冒頭、カミュの『異邦人』の一節から始まり、どこに向かうのかも知れぬ書き出しは、それでも企画に定められた、あらすじを辿り、見事な終着を見せます。
他の作品に類のない破滅的な主人公。壊れているのかとも感じるヒロイン。
その二人が最後にほのかな明かり灯し、通りすぎて行く。
それは、まさに異邦人!

その作品をさらりと書いた作者様も、この企画を「🎵ちょっと振り向いて、みただけの異邦人~」なのかもしれません。
おいおい、そりゃ久保田早紀( *´д)/(´д`、)

★★★ Excellent!!!

 美しいタイトルのイメージは冒頭から裏切られます。感情移入を拒否するような主人公の一人称で物語は進んでいきます。
 主人公には高潔な理想も強靭な精神力もありません。ヒロインには目を奪うような美貌も天使のような清らかな心もありません。
 特別な幸運も神の助けもない。なるようにしかならずに転がっていく人生の中で得た、たったひとつの出会い……。

 それは雑草の中にひっそりと咲いた草花のように。小さく、そして静かに読者の心を打つことでしょう。
 それでも人は美しい。

★★ Very Good!!

 衝撃の冒頭から始まる本作は、途中まで、『お〜い、どこ行くの〜?』と思っていたのが、『あれ? そこに落ち着いちゃった?』という感じに収まりました。
 他にはない不思議なテイストの作品ですが、個人的にはしっくりこなかったな。

 途中まで、『ちょっくら、人でもぶっ殺してやろうか』的なやばさを見せていた登場人物が、少し後には水泳の練習に取り組んでいたりして。
 ちょっと唐突すぎるように思っちゃったんだけれど?

 これは期待してる訳でもないし、そういう話を誰かに書いて欲しいとも思わないけれど(もちろん自分でも書かない)、
『おまえのアタマをスイカのように叩き割ってやる』
と言って、本当に実行する描写を淡々と描いたら、唯一無二のモノになったかもしれません。悪い意味で、だけれど★

 とはいえ、本作も冒頭の衝撃度が最後無難に落ち着いた気がする。そしてその理由が示されてなくて唐突なんだよね?

 登場人物たちの心理描写以外にも、書かれていない事柄が多過ぎて、想像だけでは補いきれない……って、これじゃ批判してるみたい。

 本作の特徴は、海斗くんの謎の能力とぶっ飛んだ設定。父親から虐待されている陽子ちゃん。しかも、海斗くんの陽子ちゃんに対する容姿の形容が酷すぎる。最後、可愛くなってるというので、ちょっぴり救われますが。
 ただ、これは凄い。尖ってる! 最後、少し丸くなるけれど、それでも負の要素で満たされてる感満載で、他では味わえない『海が太陽のきらり』になっています。
 しかも、読後感が悪くないのだからね。

 私は、コーヒーはお砂糖ダバダバ大量投入のカフェオレ派だけれど、たまには微糖のブラックコーヒーにしてみる?

★★★ Excellent!!!

同じプロットから小説を作る自主企画の参加作品です。
すでに40作以上の参加作品があって、「おおむね出尽くしたなー」と正直思っていました。この作品を読むまでは。
ダークでサイコでバイオレンスなきらり。これは今までの参加作にはなかった傑出したオリジナリティです。しかもキチンとプロットを踏まえているのがさらにすごい。結末は一転して爽やかな味も残ります。いや、ホントすごいですね。

甘い青春ストーリーのきらりに飽きた方、この作品を読むと目が覚めるでしょう。