桜の記憶
そして、俺の傷はと言えば桜の翼同様に完治しきれるものではなかった。
自分で想像していたほど酷い状態ではなかったが、それでも耳の一部は無くなっており元の形に戻ることはまずないと、診察を担当した医者に言われてしまった。
これに関しては、諦めるしかないと割り切っている。
無くしてしまったものを今更どうこう言ったところで、取り返しがつくわけでもないのだ。
因みに、家族に傷を見られたときの言い訳は、結局思い浮かばなかった。
最終的には桜が記憶操作でうまくごまかしてくれたのだが、内容が転んだ際に何かで切れたという、無理矢理感丸出しのものであったのが個人的にはモヤモヤの残るところではある。
そして、全ての元凶であった片桐 莱杜。
彼は現在、どこかの病院に入院していること以外の情報はない。
あの翌日、俺たちが置いてきた市立病院のスタッフが片桐を発見し対応をしたというのはちょっとしたニュースになったのだが、特に話が広がることもなくすぐに落ち着いた。
どこでどんな治療を受けているのかは知る由もないが、元に戻る日がくることがないのは確かか。
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