桜の記憶

 ページで言えば、二ページ目。


 その一番最後に付け加えられた一文。


〈※サクラは創り手に攻撃をできない〉


 いかにも後から書き足したようなその文字を見つけ、慎重に書かれている位置を確かめる。


(……仕方ねぇか)


 ページの一番下に書かれたこの部分を破れば、桜は片桐を攻撃できる。


 破り取る代償として、裏側に書かれた設定にも影響してしまうが、そこはもう割り切る他に手だてがない。


「……?」


 念のためと思い、一ページ目にあたる裏側の書き込みも確認する。


 桜の存在そのものに深く関係するような、重要な設定が書かれていたらならさすがにそれはやばい。


 しかし、そう思って確かめた裏側に書かれていたのは、


〈好きな食べ物→二ャンダバー〉


 という意味不明なもの。


「……おい、二ャンダバーって何だ?」

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