桜の記憶

 睨み付け、それが相手に見えているのかは判断できなかったが、返ってきたのは見下すような嘲笑だった。


「そうだね。サクラじゃなく、きみが僕を殴ればとりあえず攻撃としては通じるだろうね。……殴れれば、の話だけど」


 パチンと鳴らされる片桐の指の音。


 それに反応するように、地面から何かが突き出してきた。


「……!」


 巨大なミミズのようにも見える。


 そのグロテスクな異形は、まるで片桐を守るようにその周囲でうねうねと身体をくねらせる。


「サンドワーム。僕に敵意を向け攻撃を仕掛けた者を襲うように設定してある。身体を食べられて穴だらけにされても良いんなら、いつでもかかってきなよ。一発くらいは殴れるかもよ?」


 忌々しさに苦笑が漏れる。


「あんな惜し気もなく翼竜を消して見せたんだ、なんかは隠してると思ったよ。予想したより気持ち悪ぃもん出しやがって」


「そうだね、こいつらは今後見た目に変更が必要かな。あ、でも……こういうグロいキャラも少しは必要か。他のキャラの引き立て役には便利かも」

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